6月15日、UNHCRウガンダ事務所の主催で「ウガンダに学ぶ:日本とともに取り組む難民支援—インクルーシブな社会の実現に向けて」がオンラインで開催されました。
6月20日の「世界難民の日」に向けて、アフリカ最大の難民受け入れ国であり、寛容な難民受け入れ政策を実施しているウガンダでの事例をもとに日本の難民支援を紹介。冒頭のあいさつでは、在ウガンダ日本大使館の堀井水元参事官/臨時代理大使が「ウガンダの現状を現場からお届けすることで、難民の方々を含めた包括的な社会の実現に向けた日本の取り組みについて知っていただきたい」と話しました。
まずUNHCRウガンダ事務所の古林安希子から、ウガンダに逃れてきた難民に関する基本情報とともに、ウガンダ政府の「オープンドア・ポリシー(開かれた政策)」や難民居住区での支援、難民の意見を活動に取り込むための仕組みづくりなど、ウガンダの難民支援におけるインクルーシブな取り組みについて話しました。
続いて、在ウガンダ日本国大使館の渡邊美月経済協力調整員から、ドナー国の日本として、経済成長を通じた貧困削減と地域格差是正という目標の下に展開している教育、農村開発、保健・給水などの分野での日本の貢献について紹介しました。
日本のNGOからは、ピースウィンズ・ジャパンの山元めぐみさんが、高齢者や身体障がい者に対するトイレ建設支援や医療施設・学校支援などについて紹介。特に、近年力を入れている学校での衛生啓発活動や月経衛生管理についても説明があり、「遠い国の話ではなく、自分事として捉えていただけるとうれしい」とコメントしました。
続いて、難民を助ける会の藤田綾さんは、教育現場でのインフラ不足、障がい児や女児の低い進級率、子どもたちへのこころのケアの不足といった従来の問題に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による長期休校、それに伴う家庭内暴力や若年妊娠の増加といった新たな課題に対する支援の必要性を説明しました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンからは、藤井麻衣子さんが難民の60%以上が18歳未満の子どもであることから、難民支援における子どもの保護が重要課題であること、子どもたちを取り巻くさまざまなリスクに対して難民参加型の支援の必要性などが共有されました。
さらに、宮本輝尚JICA専門家からは、難民の自立・生計向上の支援の一環として、JICAがウガンダで取り組んできたコメ振興プロジェクトが紹介されました。長年にわたるJICAの取り組みからどのような社会経済的効果が得られたのか、その効果を最大化するために必要となる他機関とのさらなる連携が課題として挙げられました。
難民を代表して参加した南スーダン難民のアサラ・アネットさんは、難民としての経験、難民居住区内の女性リーダーとしての役割について話し、一日も早く子どもと一緒に自分の祖国である南スーダンに帰還することが一番の夢であると語りました。
最後にUNHCRウガンダ事務所の高嶋由美子が「ウガンダでは今なにが起こっているのか、日本はなぜウガンダを支援しているのか、そして、自分は何ができるのかということをともに考えるきっかけになればうれしい」と会を締めくくりました。