昨年12月、スイス・ジュネーブで開催された「第2回グローバル難民フォーラム」。世界中から、政府機関、国際金融機関、民間企業、人道機関、開発機関、難民、市民社会など、難民支援の担い手が一堂に会し、国境を越えて拡大・複雑化する難民危機にどう対応していくか、その枠組みを考えアイデアを交換する機会となりました。
今回のフォーラムでは、日本が5つの共同議長国のうちの1つを務めたこともあり、準備の段階から、日本によるイニシアティブが発揮されてきました。開催期間中も、日本政府をはじめ、民間企業や市民社会などから代表者が参加し、それぞれの取り組みの紹介や他国のパートナーとの議論を行いました。
さらに日本からは、国内外で実施もしくは計画中の難民支援の取り組みについて、財政的な支援から教育、医療・保健、雇用など、さまざまな分野の「宣言(Pledge)」が40以上提出されました。
日本は、2027年の次回フォーラムまで共同議長国を務め、引き続き難民問題の解決へ向けて行動するリーダーシップが期待されています。そこで、外務省とUNHCR駐日事務所は、今回のフォーラムの成果をこの先の社会全体での取り組みにつなげるため、関係者が一堂に会するフォローアップミーティングを今年1月に東京で開催しました。
冒頭、日下部英紀外務省国際協力局審議官は、「第2回グローバル難民フォーラム」の開会式で行われた上川陽子外務大臣のスピーチを引用し、日本として世界各地で故郷を追われた人々を支えていくために、さらに「女性・平和・安全保障」の考え方を重視していくこと、また、より中長期的なアプローチとして、日本の強みでもある「人道・開発・平和の連携」による取り組みを、JICAやUNHCR、民間企業、市民社会などと連携して強化していきたいと話しました。
続いて、今回フォーラムに参加した開発機関、民間企業、宗教団体、NGOなどの代表者から、現地で行ったそれぞれの活動、世界各地のパートナーや難民との交流を通じて得た情報、今後の取り組みなどについての共有がありました。
最後に、UNHCR駐日代表の伊藤礼樹から、「日本は、共同議長国の役割にとどまらず、民間企業やNGO、宗教団体、日本で暮らす難民の方々からも積極的な参加があり、日本の存在感が大きく示されていていた」と、日本の社会全体での取り組みについての感謝が伝えられました。
そのうえで「ここは終わりでなく、始まり」であることを強調し、今回のフォーラムをきっかけに「今後も国内で柔軟かつオープンに議論が行われ、日本の社会全体での取り組みがさらに広がっていくための継続的な場をつくるつもりであること、そういった場に関するアイデアを寄せていただきたい」と話しました。また、「難民の意義ある参加」を進めるために、日本で暮らす難民の方々との対話も引き続き大切にしていくべきだと訴えました。
「グローバル難民フォーラム」は、「難民に関するグローバル・コンパクト」の理念に基づき、2019年から4年に一度開催されている難民をテーマとした世界最大の国際会議。UNHCRは、今回の熱気を絶やさぬよう、日本のさまざまなパートナーと連携しながら、故郷を追われた人々を守り、支える取り組みを続けていきます。
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