12月15日、3日間にわたる「第2回グローバル難民フォーラム」が閉幕しました。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、世界的な分断と危機が続くなかで、参加者が確固たる団結を示したこと、難民と受け入れコミュニティに対して、変革をもたらす「宣言」が出されたことをたたえました。
グランディ高等弁務官は閉幕のスピーチで、このフォーラムの3日間の間にも、ガザで市民が犠牲になり、スーダンとミャンマーで紛争と暴動により新たな強制移動が続くなど、いくつもの厳しい出来事があったことを、厳粛に受け止めるべきだとあらためて訴えました。
2023年のグローバル難民フォーラムは、世界で故郷を追われる人が1億1,400万人を超え、うち難民が3,640万人にも達するというタイミングでの開催となりました。
「この非常に厳しい状況のなかで、国際社会の取り組みから皆さんが撤退することも容易だった。でもしなかった。むしろこの3日間、全力で、これまでにない確固たる団結を見せてくれた」とグランディ高等弁務官は話しました。
世界で故郷を追われた人々と無国籍者の支援のための「宣言」を提出し、政策を議論し、アイデアを交換し、難民や受け入れコミュニティのための解決策のために貢献した、各国の政府、民間セクター、NGO、難民が率いる組織、宗教団体、教育機関などの努力を歓迎しました。
その結果、今回のフォーラムでは、資金、物資、政策などさまざまな支援が新たな「宣言」として1,600以上提出され、そのなかには、政府とその他パートナーの連携による43の「マルチステークホルダー・プレッジ(宣言)」も含まれました。主なものは以下の通り。
・2030年までに100万人の難民の第三国定住、300万人以上の第三国への補完的受け入れを実現
・向こう4年間で、無料の法的・相談サービスを100万時間提供
・20万人の難民に遠隔の就労・教育の機会を提供
・経済的・社会的なインクルージョンを通じて、100万人以上の難民と受け入れコミュニティを支援
初期の推計では、この先数年の「宣言」として22億米ドル以上の財政支援が提出され、うち2億2,500万米ドルが民間企業や団体からの支援です。また、難民受け入れ国に対する二国間または多国間の開発資金協力も発表されました。
今回のフォーラムには、世界中の4,200人以上の代表がスイス・ジュネーブの会場で参加しました。そのなかには、世界各地から集まった300人以上の難民の代表も含まれ、2019年の第1回の4倍です。合わせて、数千人以上がオンラインで、プレナリーセッションやサイドイベントに参加しました。
「第2回グローバル難民フォーラム」は、UNHCRとスイス政府の共催、コロンビア、フランス、日本、ヨルダン、ウガンダの5カ国が共同議長国を務めました。
フォーラムの最後に、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、グローバル難民フォーラムのテーマである「ACTION・UNITY・IMPACT」を、ここにいる参加者がまさに体現したと話しました。
続けて「難民の保護も支援も、決して“運”であってはならず、限られた国やコミュニティに地理的な事情から不平等な負担が強いられることがあってはならない。この地球上の一人ひとりが共有すべき義務だ。今回のフォーラムで難民のニーズのために皆さんが一堂に会したことは、暗く苦しい1年に一筋の光をもたらした」と、ニューヨークからメッセージを寄せました。
そしてグランディ高等弁務官は、今回のフォーラムに参加した難民の代表者たちに、特別な感謝を伝えました。
「皆さんの参加があったからこそ、あなたたちがどのような経験をしてきたか、再認識し、難民がなにを必要としているのか、その現実に向き合うことができた。そして、もっと重要なのは、私たちは皆さんから学びを得ているということ人道支援も必要不可欠ではある、でも、あなたたちが本当に必要としているのは機会であり、社会の一員となるということなのだと」
今回のフォーラムの開催中に、ジンバブエで暮らすブルンジ出身の難民、エボデ・ハキジマナさんが伝えたメッセージがあります。
「そう、私たちは確かに希望がほしい。でも、希望以上に必要なのは行動です。なぜなら、いったん行動を起こせば、希望はいたるところで生まれるのだから」
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