紛争や迫害により、世界で故郷を追われる人が1億1,000万人を超えた今、難民問題は一つの国や地域で対応できないほどに複雑になり拡大しています。
緊迫する世界情勢のなかで、2018年12月に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」で提唱されている“社会全体で取り組む難民支援”の重要性が高まっています。この理念を推進し、実行に移していくために、政府機関、国際金融機関、民間企業、人道機関、開発機関、難民、市民社会の代表が一堂に会し、長期的な難民危機にどう対応していくか、それぞれの取り組みやアイデアを共有し、恒久的な解決策を検討する場として、2019年から4年に一度「グローバル難民フォーラム」が開催されています。
そして2023年12月13日~15日、「第2回グローバル難民フォーラム」がスイス・ジュネーブで開催されます。日本はアジアを代表して共同議長国を務めることが決定しており、難民支援・人道支援において、国際社会でリーダーシップを発揮していくことが期待されています。
今回のフォーラムに先駆け、日本から“社会全体で取り組む難民支援”を広めていくために、11月27日、外務省とUNHCR駐日事務所の共催でプレミーティングが東京で行われました。
冒頭、外務省の遠藤和也国際協力局長は「グローバル難民フォーラムは、日本が共同議長国として “社会全体で取り組む難民支援”を実現に導いていくスタートとなる場。これを機に、日本政府が推進する“人道と開発と平和の連携”に関する取り組みにも、日本から多くのステークホルダーにご参加いただきたい」と話しました。
続いて、日本から今回のフォーラムに参加予定、難民支援の取り組みを「宣言(Pledge)」として提出予定がある、難民当事者を含むさまざまな分野のステークホルダーから、それぞれの取り組みや現状の課題、今後の計画などが共有されました。そのうえで、日本ならではの難民支援としてなにができるか、日本の社会全体でどのような連携の可能性があるかなどについて、活発に議論が行われました。
UNHCR駐日代表の伊藤礼樹は「日本のステークホルダー間で、このような情報・意見交換を続けていくことが重要だ」と話し、日本から“社会全体で取り組む難民支援”に向けた枠組みづくりを進めていくために、そして故郷を追われた一人ひとりの命と尊厳を守るために、日本の社会全体で共感と理解を広めていくことが大切だと訴えました。
<第2回グローバル難民フォーラムについて>
世界中の難民支援の担い手が一堂に会する、難民をテーマにした世界最大の国際会議。第2回は12月13日~15日、共同議長国は、日本、コロンビア、フランス、ヨルダン、ウガンダ。UNHCR本部の特設サイトはこちら、会場での取材を希望するメディアの登録はこちらから(12月1日締切)。
<UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)について>
1950 年設立。難民、国内避難民、無国籍者などを国際的に保護・支援するため、多様なパートナーと連携し、世界約 135 カ国で活動。1954 年、1981 年にノーベル平和賞を受賞。本部はスイス・ジュネーブ。https://www.unhcr.org/jp/