UNHCRは2014年から10年間で無国籍ゼロの達成を目指して「#IBelongキャンペーン」を実施しており、同キャンペーンはこの11月で9年を迎えました。この機にUNHCRは、世界的に大きな課題となっている無国籍の解決に向けて、世界各地で重要な前進が見られていると報告しました。
2023年、キルギスとモルドバでは、子どもが出生時から無国籍となることを防ぐための法的措置が導入されました。また、ポルトガルでは、無国籍に関する認定手続きを含む法的枠組みが承認され、北マケドニアでは、両親が無国籍であるなしに関わらず、国内で出生したすべての子どもに対して、国籍と出生証明書を保証する法律改正が行われました。コンゴは、最新の無国籍条約の加入国となりました。
今年だけでも、ケニアで約7,000人のペンバ族の人々が国民として認められ、タンザニアのザンジバルで無国籍のリスクにさらされていた3,000人以上が国籍を取得しました。
現在、「無国籍者の地位に関する1954年条約」には97カ国、「無国籍の削減に関する1961年条約」には79カ国が加入しています。また世界の多くの国々が、無国籍の権利を守り、また。無国籍を削減するための法的取り組みを進めています。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「無国籍ゼロに向けて前進を感じており、各国に行動を続けるように呼び掛けています。世界的に強制移動が増えるなかで、何百万もの人々が取り残され、基本的人権のみならず、社会への参加も貢献の機会も奪われている。こういった排除は非常に不公平であり、対処されなければなりません」と訴えます。
現時点において、少なくとも95カ国で440万人が国籍不明、無国籍であることが報告されていますが、各国の統計において無国籍者の把握が容易でないことを考慮すると、実際の数は世界的にさらに多いとみられています。
どの国の国民とも認められていない、無国籍者の多くは、人権、基本的なサービスへのアクセスが奪われ、政治的、経済的に取り残され、差別、搾取、虐待のリスクに直面しています。世界の無国籍者は少数グループであることが多く、すでに直面している差別や疎外を長期化、悪化させる傾向があります。
グランディ高等弁務官は「無国籍にはさまざまな要因がありますが、多くの場合、基本的な法律、政索の変更で解決が可能です。私は全世界の国々に対して、誰一人取り残さないために、今すぐの行動を呼び掛けます」と強調します。