「なぜ私たちは服を着るのでしょうか?」
この日、UNHCRのグローバルパートナーで、ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングが実施している「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」の出張授業は、この問い掛けから始まりました。教科書には答えがないこの質問に向き合ったのは、角川ドワンゴ学園 N中等部*の生徒たちです。
着なくなった子ども服を学校や地域の人々の協力を得て回収し、世界各地の難民に届ける小・中・高校生が主体のプロジェクト。2013年にスタートしてから、日本全国に広がり、2022年度は過去最高の745校・8万8,000人の子どもたちが参加しています。
この日の授業を担任したのは、ファーストリテイリング社員の澤田祐宜(ゆうき)さん。サステナビリティ部に所属し、“服のチカラ“を通じて、さまざまな社会問題の解決に取り組んでいます。
「防寒のため」「おしゃれをするため」「安心感・幸福感を高めるため」―。一人ひとり、服を着る意味を考え、答えを探す生徒たち。ここで澤田さんからの正解発表です。
「全部正解です。“服のチカラ“は、命を守ったり、自己表現をしたりするために欠かせないものです。着なくなった服を、それを必要としている人へ届けることは、“服のチカラ“を再利用する素敵な活動だと思いませんか」
続けてずっしりと重そうな荷物を両手に持って、荒れた砂道を歩いている人たちが写った写真が紹介されました。
「彼らは難民です。紛争などによって命に危険がおよび、もともと住んでいた場所から逃げざるを得なくなった人たちです」と澤田さん。そしてこう続けます。「世界には1億人以上の難民がいます。ウクライナなどで紛争が長期化する中、その数は増え続け、数年後には日本の人口を超えてしまうかもしれません。その約半数は、皆さんと同年代の18歳未満の子どもです」。
生徒たちは、着のみ着のままで家を離れなければならない難民やその子どもたちを想像しながら、澤田さんの話にじっと耳を傾けていました。
最後に、集められた服が難民に届くまでの動画が流されました。日本の子どもから難民の子どもへと、服のチカラがつながっていく―。届いた服を笑顔で身に着ける難民の子どもたちの姿を見て、このプロジェクトと通じて、自分たちにも世界の社会問題の解決に貢献できることを実感したようです。
授業後、生徒からはたくさんの感想が寄せられました。
「集めた服がどのように難民の子どもたちに届くか、動画でよく分かった。まずは今自分が着ている服を大切に着ること。そして、いつか困っている人のために寄付したい」
「回収ボックスをユニクロの店頭で見たことはあったけど、別の何かになって届けられていると思っていた」
「ウクライナのニュースはよく見るけど、この活動はあまり知らなかった。より多くの人に知ってもらいたいし、より多くの服を難民の子どもたちに届けたい」
今後、出張授業での学びを生かして、学園の複数のキャンパスと合同で校内や地域で子ども服を回収していきます。
UNHCR は本当に服を必要としている人たちに届けるため、今後もファーストリテイリングと連携しながら取り組みを進めていきます。
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