凍える寒さから身を守ろうと、自分の体を抱きしめながら歩くマリア(38)。4人の子どもの母親である彼女が向かっているのは、マラウイのザレカ難民キャンプにある衣服の配布センターです。
毎年、冬がきても、マリアは自身や子どもたちが着る冬服を持っていません。それは、このキャンプで暮らす何千人もの難民も同じ。暖かい服を家族に買う余裕がないのです。
「このキャンプは、冬はとても寒くなります。でもセーターすら持っておらず、子どもたちに服を買うお金もありません。だからこそ、今日この服をもらえてうれしいです。これで暖かく過ごせます」。マリアはたくさんの服をうれしそうに抱えて話します。
ユニクロとGUは2015年以降、マラウイの難民キャンプに衣類の寄贈を行ってきました。その数、1梱に150〜200点、約9,000梱におよびます。
「私たちは5人家族ですが、家族それぞれがセーターなど7種類の服を受け取り、合計で35着の服を手に入れることができました。寒い季節の防寒着としてだけでなく、外に出歩く時のよそ行き用の服にもなります」。
2022年6月の統計によると、ザレカ難民キャンプには5万5,054人の難民・庇護希望者が暮らしています。しかし、ウクライナ危機などの新たな緊急事態が起こるたびに、世界の注目はマラウイからはどんどん離れていき、このコミュニティの切実なニーズはすぐに忘れ去られてしまいます。
資金不足の影響で、国連世界食糧計画(WFP)はこの難民キャンプへの食料支援をを25%削減、法的制限により移動や雇用の自由がなく生計の機会が限られている難民は、自分たちで日々生き抜くための食料を手に入れる方法を考えなければなりません。食料価格は先月から急激に上昇しているため、難民は服など他の必需品よりも、食料を優先せざるを得ない状況になっています。
ニズルジェロ(27)は、もらった服へのよろこびを隠しきれません。「キャンプではセーター1枚が2.5ドル(約345円)もする。食料の配給は以前の約7割、このままでは月末まで持ちません。運良くキャンプで(非正規雇用の)仕事があったとしても、食料の値段が上がっているので、わずかなお金は食費優先で使っています」。
「この服を送ってくれる人たちに神のご加護がありますように」と祈りを捧げるアミサ。「私たちにはもっと暖かい服、特にジャケットやセーターが必要です。ここの人たちは貧しく、市場で服を買うことができません。私たちはこの支援をとてもありがたく思っています」。