UNHCR国会議員連盟(UNHCR議連)の主催で、ウクライナ緊急特別総会が開催されました。
第二次世界大戦以降、最も急速に拡大しているこの難民危機を受けて、現地の状況をより的確に把握し、日本として必要な支援を検討するために、与野党から多くの議員が出席しました。
冒頭のあいさつでUNHCR駐日代表のカレン・ファルカスは、ウクライナでは2月末のロシアの軍事侵攻を受けて多くの人が故郷から避難を余儀なくされ、国内と近隣国で緊急人道支援が必要とされていること、そのなかで、日本の政府、自治体、民間、一般の方々からすでに多くの支援が寄せられていることへの感謝を述べました。
続いてルーマニアとモルドバの視察から戻ったばかりのUNHCR欧州地域局首席地域調整官のアン・マリー・ドイチレンダーがオンラインで参加し、現状の報告を行いました。
ルーマニア国境付近はスーツケース1つで避難してくる女性と子どもであふれていたこと、ガソリン不足や厳しい寒さも大きな懸念であること、また緊急援助物資の配布といった基本的な支援に加えて、これからこころのケアなども重要になってくることなどが強調されました。加えて、避難を強いられた人のニーズは多岐にわたることから、それぞれが自身の優先となる用途に使うことができる現金給付による支援の有用性についても言及されました。
また、ルーマニアでは政府による対応が比較的スムーズに進められているものの、すべての近隣国がそうではなく、特に経済的状況が必ずしも安定していないモルドバなどでは国際社会からのサポートが重要になるという指摘がありました。
さらに、第一波に避難した難民は近隣国に親せきや知人のいる経済的に比較的余裕がある層であり、今後さらに状況が悪化した場合、第二波で逃れてくる人にはより多くの支援が必要になること、受け入れ側の疲弊により今ほどの対応が行われなくなることへの懸念などが共有されました。
また、近隣国ですでに活動を開始している日本のNGOを代表してピースウィンズ・ジャパン、日本のNGOの活動の支援を行うジャパン・プラットフォームからも報告がありました。今回のような非常に流動的な状況においては、物資提供に限らず、現金給付支援がより求められることなど、現場で真に必要とされているニーズなどについて共有がありました。厳しい状況が続く中、国際社会が一体となった長期的な人道支援が重要であることが再確認されました。
UNHCR議連事務局長の猪口邦子参議院議員をはじめ出席した議員からは、現場で今すぐ求められている資材やマンパワー、国際社会から最も必要とされている支援、日本からできる支援や日本での受け入れに向けた準備などについての質問がありました。
最後に、UNHCR議連会長の逢沢一郎 衆議院議員は「ウクライナから避難する人が200万人を超えた第一波に次いで、第二波が来た場合への備えが非常に重要であることを再認識した。日本にどれほどの方が避難してこられるか未知数だが、政府と連携し、必要な支援を行えるように取り組んでいきたい」と総括しました。