今週、アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使は、7年にわたる紛争で市民に破壊的な影響がおよんでいるイエメンへの関心喚起のために現地を訪問しました。
イエメンの紛争の長期化はいくつもの危機につながり、一般市民の生活のあらゆる側面で影響が出ています。すでに多くの市民の犠牲者が出ており、2022年1月時点では、1時間に1人の市民が死亡または負傷し、貧困、飢餓、経済崩壊の拡大とともに、イエメンの人々は瀬戸際に立たされています。現在、イエメン人の3人に2人が日々を生き抜くために人道支援を必要とし、その数は2,000万人です。イエメンで故郷を追われた92%が収入源がまったくなく、月40ドル以下での生活を余儀なくされています。
ジョリー特使は、3日間の視察のために3月6日にイエメンに入り、国内避難民、北部と南部の難民のもとを訪れました。
ジョリー特使が紛争が関わるすべての人に求めるのは、国際人道法の順守とそのための貢献です。また、市民を標的とすることを避け、人道支援を必要とするすべての人のスムーズなアクセス、紛争地域から避難する市民の避難経路の確保、交渉による政治的解決を呼び掛けています。
ジョリー特使は人道支援が深刻な資金不足に直面していることから、3月16日に開催されるイエメンに関するハイレベル会合に先駆けて、国際社会に支援の強化を求めています。その支援は、この7年で400万人以上が避難を余儀なくされているイエメンにおいて、暴力を終えるための取り組みを強化するうえで必要不可欠です。
イエメン南部のラヘジの現場を訪ねると、この数年で家を追われた人々が簡素なシェルターで暮らしていました。ある家族はジョリー特使を前に、自分の住まいや愛する人、生計手段どのようにを失ってきたか、紛争がいかに子どもたちの希望を閉ざしてきたかを訴えました。5人の母親のムデーラはタイズから避難してきて4年、子どもは一人も学校に行くことができず、出生証明書もなく、ワクチンも受けることができていないといいます。母親は毎日のように、子どもたちに紅茶とパン以外のなにか食べさせるために奔走しています。
イエメン北部の国内避難民の居住区では、65歳のマーヤムに話を聞きました。2016年から避難生活を送っており、紛争で夫を亡くしました。彼女はジョリー特使に、家族に必要な医療サービスを受ける余裕がなかったため、孫のうち3人が亡くなってしまったと話しました。
ジョリー特使は今回の視察、そして国際女性デーに寄せて、この紛争がイエメンの市民に、特に避難を強いられた半分以上を占める女性と少女に、いかに厳しい影響をおよぼしているかを訴えます。イエメンは世界でもジェンダーの平等と差別への認識が低く、この終わりのない紛争によって彼女たちの苦しみはさらに悪化しています。
ジョリー特使は訴えます。「ここにある人々の苦しみは想像を絶するものです。イエメンでこの悲惨な紛争が続くほど、さらに多くの罪のなき命が奪われていきます。さらに多くの人の苦しみが続きます。私たちは苦しみや恐怖がはびこる世界に生きています。しかしそこから、たくさんの思いやりが生まれ、国際社会の連帯につながることもあります。私はそれがイエメンの人にも届けられてほしいと思います。この紛争への迅速かつ平和的解決を今すぐ求めているイエメンの人々に、そしてこの世界のどこかで避難を強いられているほかの人々にも心を寄せてください。
世界で8,000万を超える人が故郷からの避難を余儀なくされ、世界的に人道支援を行うための資金が不足しています。この現実の中で、私たちは紛争解決の道筋を今すぐ見つけ、尊厳ある安全な状態で人々が故郷に戻れるような方法を考えなければなりません」
UNHCRはパートナー団体とともにイエメンの現場にとどまり、シェルター、現金給付、心理社会的サポートなど命を守るための支援を続けています。また、子どもの保護、女性に対する暴力を防ぐための取り組みも実施しています。UNHCRは紛争が激化する中でも支援を継続し、強化していきたいと考えていますが、イエメンに対する国連のアピールに対する資金が十分に集まっていないのが現状です。
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