本日、UNHCRは無国籍根絶に向けて実施している「#IBelong キャンペーン」の7周年を機に、世界でいまだ国籍がない何百万もの人々の苦境の解決に向けて、さらなる行動が必要であると訴えます。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「この数年で無国籍に関して顕著な進歩がみられてはいるものの、いまだ何百万もの人が無国籍であるという状況、また、無国籍の子どもが生まれる原因となっている状況を解決するために、各国政府は法的、政策的な溝を埋めるためにもっとすべきことがあるはずです」と訴えました。
無国籍、つまり、どの国にも国民として認められていない状況は、世界の何百万もの人々におよんでいます。無国籍者の多くは基本的な権利を享受することができず、学校に行ったり、合法に働いたりできないばかりか、医療サービスへのアクセス、結婚、出生登録などもできない場合が多くあります。
UNHCRは2014年、世界で無国籍をゼロにすることを目指し、世界の関心を喚起し、啓蒙を行うために「#IBelong キャンペーン」を立ち上げました、それ以降、27カ国で40万人以上の無国籍者が国籍を取得し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカで法律面での新たな変更の結果、何十万もの人々に国籍取得に向けた道が開けています。
またこの7年で、29カ国が無国籍に関する国際条約(「無国籍者の地位に関する1954年条約」の加入国は96、「無国籍の削減に関する1961年条約」)に加入し、まさに政治的意思の強化が無国籍の根絶につながることを示しています。
「私たちは、無国籍の根絶を目指したこの世界的な機運に励まされてきました。各国のあらゆる努力があれば、私たちはきっと目標を達成できます。しかし、この先さらなる前進がなければ、国籍をはく奪されたままでいる何百万もの人々は、人権から取り残され、最も基本的な権利すらも享受することができません」と、グランディ高等弁務官は話します。
無国籍は多くの場合、国の法律のはざまにあり、その法律の施行の結果起こります。民族、宗教、ジェンダーなどに基づく差別は、無国籍の主な要因です。
どの国からも国民として認められていないことから、無国籍者は法的な権利、基本的サービスを奪われることもあります。政治的、経済的に取り残され、差別、搾取、虐待に脆弱な立場にあります。また、最近では新型コロナウイルスの検査、治療、ワクチン接種にアクセスできない場合もあり、気候変動のリスクに対する支援や保護も十分受けることができていません。
無国籍者が国籍を得ること、無国籍になることを防ぐために、法令や政策の変更を行う力があるのは、それぞれの国の政府です。時にはサインひとつで、または、比較的簡単な法令等の修正で行うことができます。つまり無国籍は、簡単に回避でき、解決可能な問題なのです。
UNHCRが10年で無国籍をゼロにすることを呼び掛ける「#IBelong キャンペーン」の期限は2024年、残り3年です。
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UNHCR の統計では、世界の約94の国で420万人の無国籍者がいると報告されています。ただし、多くの国で無国籍に関するデータ収集が行われていないことから、実際の数はこれよりもかなり多いとみられています。
これまで、「無国籍者の地位に関する1954年条約」の加入国は96、「無国籍の削減に関する1961年条約」の加入国は77です。
2014年に「#IBelongキャンペーン」が始まってからの動き
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