本日、UNHCRは2021年のナンセン難民賞、地域賞の受賞者を発表しました。
2021年のUNHCRナンセン難民賞は、イエメン国内の紛争により移動を強いられた人々への支援に取り組んできた人道支援団体「Jeel Albena Association for Humanitarian Development(JAAHD)」が受賞しました。
2017年の設立以来、目の前で銃撃戦や爆発が起こるなか、イエメンの国内避難民に対して揺るぎなく続けてきた支援が評価されての受賞となりました。創設者のアメーン・ジュブラン(37)自身も、イエメン国内の争いにより故郷を追われ、命の危険に直面したこともあります。
「私たちが活動している地域は、最も貧しい、そして最も危険だともいわれています。危険と隣り合わせの日々でしたが、そんな状況でも、故郷を追われた人など私たちの助けを必要としている人がたくさんいます。私たちにとっては、そんな人たちを取り残し、支援をしないという選択肢はありませんでした」
イエメンでは紛争により400万人が故郷を追われ、緊急に保護と支援を必要としていますが、紛争の現状やと人々の苦しみはしばしば見過ごされてきました。JAAHDがナンセン難民賞を受賞したことで、世界最悪の人道危機のひとつに直面するイエメン、その紛争により故郷を追われた人々への関心につながることが期待されます。
JAAHDは160人以上のスタッフ、さらに230人のボランティアに支えられています。その多くは自身も避難を強いられている人たちです。紅海の港町ホデイダを拠点にし、雇用の確保に加え、ホデイダとハッジャーの2地域の非公式居住区で暮らす国内避難民に約1万8,000世帯の緊急シェルターを提供してきました。
また、故郷を追われた女性の自立、学校の修理、地元のコミュニティと避難してきた人の双方に利益をもたらす支援に取り組んでいます。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「JAAHDの皆さんは、これまで本当に素晴らしい活動に取り組んでこられました。イエメンの人々に対するあらゆる場面での忍耐強い支援は、まさに人道、思いやり、献身の象徴です」と話します。
また今回の受賞は、イエメンの現場で多くの地元のNGOが、人々を救うために熱心に活動を続けていることも意味しています。
UNHCRナンセン難民賞は、難民や国内避難民、無国籍者に対する支援に多大な貢献を果たした個人・団体をたたえる目的で1954年に創設されました。これまでさまざまな国から60人を超える人が受賞しており、2006年には日本人として初めて株式会社富士メガネの金井昭雄代表取締役会長兼社長が受賞しています。
2021年は200人の候補者が選出され、5つの地域から地域賞が選ばれました。
■アメリカ ジョージ・サンティアゴ・アビラ・コラレス(33)
ホンジュラスのソーシャルワーカー、Jóvenes Contra la Violencia代表。ホンジュラスの若者の命を脅かす犯罪組織の暴力による課題解決に勇敢に挑む
■アジア Dr サリーマ・レイマン(29)
パキスタン在住の医師。新型コロナウイルスのパンデミックの中、医療専門家として、少女の教育の推進におけるチェンジメーカーとして、献身的な取り組みを続ける
■ヨーロッパ 二コラ・コバセビック(32)
セルビア出身の人権弁護士。バルカン地域で難民や庇護希望者の権利への啓蒙を行う
■アフリカ
・ロウキアトウ・マイガ(55)
ブルキナファソ出身、国内避難民に対する啓蒙、支援に取り組む
・ディアムベンディ・マディエガ
ブルキナファソ出身、紛争による国内避難民の権利の啓蒙とシェルターの提供
2021年10月4日に行われるオンラインセレモニーには、JAAHDを代表して創設者のジュブラン氏が出席し、記念メダルと15万米ドルが贈られます。セレモニーでは地域賞も発表されます。
ナンセン難民賞は、ノルウェー人の科学者、北極探検家、外交官、初代難民高等弁務官であるフリチョフ・ナンセンのレガシーを受け継ぐものとして創設されました。
▶原文(英語)はこちら