UNHCRが昨年から開催している「ユース難民アートコンテスト」の2021年の受賞者が発表となりました。
今年のテーマは“スポーツを通じてひとつに”。フリーデザイン、ドリームボールの2部門で募集が行われ、世界約100カ国のユース世代から、1,600人を超える応募がありました。応募者の3分の1は難民、国内避難民、庇護希望者でした。全受賞者のリストはこちらからご覧になれます。
「紛争や迫害により故郷を追われた若者たちにとって、スポーツは社会と交わり、必要な保護を受けるための大切なツールです。このアートコンテストを通じて、ユース世代が自分の得意なことを生かしてスポーツのチカラを表現し、また、故郷を追われた人へのスポーツへの取り組みにつながる支援にかかわるチャンスになればと考えました」とUNHCRの担当者は話します。
最優秀賞を受賞した5作品は、ケニアのボール工房「Alive and Kicking」との連携により、サッカーボールとしてデザインされ、オンラインで販売されます。ボール1個につき15ポンドが、UNHCRの難民支援の現場でスポーツ関連の施設や用具の整備に充てられ、ボールの製作を担うサハラ以南アフリカの難民や脆弱な立場の人々の収入にもつながります。
Alive and Kickingのベン・サドラーCEOは「UNHCRのアートコンテストに参加できたことを大変光栄に思います。世界中の若き難民、難民を支援したいと思う若者のアートの才能にふれることができ、また、それが多くの若者へのスポーツへのアクセス、私たちの工房の倫理的な雇用にもつながっています」と話します。
最優秀賞を受賞したのは、ナディラ(16歳、アフガン難民、インド在住)、ジェームス(10歳、アイルランド出身、サッカーファン)、ハラ(12歳、パレスチナ難民、サウジアラビア在住)、ジェラルド(23歳、カメルーン難民、サッカー選手、イタリア在住、スペシャルオリンピックス アドバイザー)、スカーリー(12歳、ベネズエラ出身、ブラジルの一時避難施設在住)の5人です。
アフガン難民のナディアは「私は生まれつき障がいがあります。スポーツは、私たちみんなが、特に難民や障がいのある人たちが目の前の困難を乗り越え、自分のベストを尽くして努力しようという気持ちにさせてくれます。私はスポーツが世界中でどれだけ希望や喜びを運んでいるかを伝えたいと思いました」とコメントしています。
今回の選考は、アスリート、スポーツジャーナリスト、アーティストなどの審査員で行われました(審査員のリストはこちら)。その一人、UNHCR親善大使を務める元難民のサッカー選手、アルフォンソ・デイヴィス選手は「どのデザインもとても力強いものでした。応募作品を通じて、世界がひとつになるとはどういうことなのか、子どもたちの考えを知ることができて感動しました」と話します。
日本からは約50作品の応募があり、Ikuhoさん(15歳、静岡県在住)、Reinaさん(11歳)が特別賞を受賞。UNHCR親善大使MIYAVIは審査員を務めました。
2021年ユース難民アートコンテストは、難民支援への若者の参加、スポーツが難民の心身の健康につながるという、まさにUNHCRにとって重要な取り組みを体現しています。
最優秀賞のデザインのボールの注文はAlive and Kicking ウェブサイトから、そのほかの作品は3Dデジタル展示で紹介されています。
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