現在、世界各地で発生している人道危機の影響で多くの人が故郷を追われ、その数は地球上の1%にまで達しています。さらに今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、そもそも脆弱な立場にある難民や国内避難民はさらに深刻なリスクにさらされることになりました。
2020年も日本からの支援により、世界各地で故郷を追われた多くの人々の命、尊厳が守られました。日本政府、国民の皆さまに感謝申し上げます。
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2020年、12カ国17の人道危機に対して、日本の緊急無償資金協力が供与されました。
避難を強いられている国内避難民に対して、シェルター支援、越冬支援を含む支援物資の提供
ベネズエラ避難民および影響を受けている周辺国(ブラジル、コロンビア、エクアドル、ペルー)の受け入れコミュニティに対して保護活動、社会的統合分野における支援のほか、住居支援、援助物資の配布等の人道支援を実施
サヘル地域(チャド、ブルキナファソ、ニジェール、マリ)における治安状況の悪化による難民・国内避難民および受け入れコミュニティに対する保護活動、住居支援、生活物資やテントの供与、水・衛生支援や教育機会の提供など
住居支援、生活物資やテントなどの供与、女性や子どもなどの脆弱な状況にある人々の保護、人口移動のモニタリング体制の整備などの支援
ブルキナファソ、チャド及びニジェールにおける人道危機に対する緊急無償資金協力
性とジェンダーに基づく暴力からの保護・予防、医療支援、生計支援、生活物資の配布などの支援
レバノン・ベイルートにおける大規模爆発被害に対する緊急無償資金協力
首都ベイルートにおける爆発事故の影響を受けたレバノン人、難民、移住労働者を含むコミュニティすべての人を対象とした損壊住居の応急処置用の防雨・防風セットの配布、住居修復のための恒久的な支援、脆弱な状況にある被災者に対する個別支援などを実施
モザンビーク・カーボデルガード州とその周辺地域における緊急無償資金協力
モザンビーク北部のカーボデルガード州北東部における治安悪化により故郷を追われた国内避難民に向けた性とジェンダーに基づく暴力からの保護・予防、被災地・周辺地域の避難民登録と脆弱性とニーズ調査、法的支援や身分証明書へのアクセス改善
スーダンに流入したエチオピアからの難民に対する緊急無償資金協力
エチオピア北部での軍事衝突に端を発したスーダンへの大規模な難民流入を受けた、受入施設の設置、水・衛生施設の建設などの支援
新型コロナウイルス感染症により脆弱な状況にあるシリアの国内避難民や帰還民、シリア難民と受け入れコミュニティに対する医療物資等の提供を通した医療・保健サービスや越冬のための住居修繕のための資機材を提供など
UNHCRの新型コロナウイルス対応への日本からの支援により、感染予防のための水・衛生環境の整備や手洗いなどの啓発活動とあわせて、一時隔離施設の設置、必要物資の供給、保健センターのスタッフのトレーニングなどの医療体制の整備も現地政府と連携して行われました。
日本からの支援を受けた17カ国
アジア:アフガニスタン、バングラデシュ、キルギス、タジキスタン、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、タイ、イラン
中東:イラク、ヨルダン、レバノン、シリア、イエメン
2020年、特定の使途に指定しない「ノン・イヤーマーク(unearmarked)拠出金」として、日本政府から2,382万5,696米ドルの支援がありました。これは日本政府からの通常拠出(Annual Core Contribution)の7割を占めており、過去最高の割合となりました。
国連の予算は各国に義務的に割り当てられる分担金(義務的拠出金)、各国が政策上の必要に応じて拠出を決定する任意拠出金から構成されています。
UNHCRは任意拠出金によって運営されていることから、突発的な人道危機や国際社会からの支援が届きにくい難民危機に対して、1年を通じて必要に応じて柔軟に活用できる資金が必要不可欠です。特定の国・地域、支援対象者や活動分野が指定されない柔軟な資金協力により、世界各地で故郷を追われた人々を “誰一人取り残すことなく” 支援することが可能になります。
日本の政府や個人からの柔軟な資金協力により、2020年も以下のような支援が可能となりました。