日本政府は、新型コロナウイルス感染症により脆弱な状況にあるシリアの国内避難民や帰還民、シリア難民と受け入れコミュニティに対する人道支援に対して、緊急無償資金協力の実施を決定しました。
シリアにおける人道危機が発生してから、来年3月で10年目を迎えます。シリア国内にはいまだ670万人の国内避難民が避難生活を余儀なくされており、さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、経済・社会状況がさらに悪化しています。シリアでは現在、1,106万人が何らかの人道支援を必要としていると推定されています。
UNHCRの「地域越冬支援計画2020-2021」によると、シリアでは、今年の冬に適切に備えるために、約135万人が緊急かつ実質的な越冬支援を必要としています。また新型コロナウイルス感染症により社会的・経済的影響を受けた家族への支援、医療や支援関係者の感染防止対策、困窮化による搾取などのリスクの回避など、脆弱な状況にあるシリア人への越冬支援が必要とされています。
今回の日本政府の支援により、女性のみの家族、高齢者、障がい者や病人など脆弱な状況にある個人に対して、車いす、松葉づえ、メガネ、包帯などの医療用品を提供し、現地の保健・医療機関への医療機器や物資の支援を通じて、越冬のための住居の修繕材料や道具を提供することが可能になります。
UNHCRの支援活動も新型コロナウイルス対策による移動制限やロックダウンにより多くの課題に直面していますが、UNHCRは現場にとどまり支援を必要な人に届け続けています。UNHCRはこれからも日本政府をはじめとしたドナーの支援を受け、世界各地の難民、国内避難民などに対する人道支援を拡充していきます。
【支援内容】
シリア:95万米ドル(約9,800万円)
・医療物資等の提供を通した医療・保健サービス(約7,000人)
・越冬のための住居修繕のための資機材を提供(約2,600人)