2019年12月中旬、スイス・ジュネーブで開催された「第1回グローバル難民フォーラム」。政府機関、国際金融機関、ビジネスリーダー、人道機関、開発機関、難民、市民社会の代表が世界中から一堂に会し、難民とともに歩むインクルーシブな社会の実現に向けて、長期的支援の誓約が発表されました。
参加者は3000人を超え、その中には難民当事者、750の政府代表が含まれています。今回行われた誓約は、雇用、子どもの就学、政策の変更、第三国定住などの解決策、クリーンエネルギー、インフラ、受け入れ国・地域に対する支援など770以上。くわしくはこちら。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「難民の庇護に対する公的なサポートは近年大きく変化しており、受け入れコミュニティの困難も見過ごされがちである。難民に関する“危機”という表現は、短期的な視点で分野を超えた連携を十分行わず、受け入れコミュニティの存在を考慮しない場合に起こるものだ。長期的な視点で連帯を強めていくため、今回のフォーラムでそのかじとりを行った」と話しています。
今回誓約された資金援助の中には、世界銀行からの22億米ドル、米州開発銀行からの10憶米ドルが含まれ、難民と受け入れコミュニティに対する支援、民間支援の活性化や雇用創出などに充てられます。そのほかにも多くの国、ステークホルダーから、20憶米ドルを超える資金援助が誓約されました。
民間セクターからもさまざまな支援が表明され、難民が自尊心を持って自立し、受け入れコミュニティへの貢献を果たすことができるよう、雇用機会の提供の重要性が強調されました。人道・開発機関からの誓約に加えて、ビジネス界から2.5億米ドルを超える支援、少なくとも1万5000の雇用、無償の法的支援が誓約されました。
今回のフォーラムでは、負担と責任の分担、教育、雇用・生計向上、エネルギーとインフラ、解決策、保護のキャパシティの6つのテーマを柱に、保護、教育の2つの分野を中心に誓約が行われました。保護に関しては、インクルーシブな社会の実現に向けた法的・政策の変更、教育に関しては、難民の子どもたちが学校に通い、自身の将来を描ける機会の提供が打ち出されています。
安全な自主帰還をどう実現していくべきかも重要な議題となり、難民や避難民の出身地の自主帰還、再統合に向けた協力などが誓約されました。
「グローバル難民フォーラム」は2018年12月に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」の推進に重要な役割を果たしています。4年に1度開催され、第2回は2023年後半に予定されています。
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