何十年も続く難民危機の解決に向けた国際会議
「グローバル難民フォーラム」、12月16日~18日にジュネーブで開催
ジュネーブ/バンコク発
今日から3日間、スイス・ジュネーブで、世界の難民問題の解決に向けた国際会議「グローバル難民フォーラム」が開催されます。
「グローバル難民フォーラム」は今回が第1回目。難民、各国政府の首脳、国連組織のトップ、国際機関、開発機関、ビジネスリーダー、市民社会の代表などが国連ジュネーブ事務局(Palais des Nations)に一堂に会します。UNHCRとスイス政府の共催、コスタリカ、エチオピア、ドイツ、パキスタン、トルコ各政府が共同議長を務めます。
世界では、戦争、紛争、迫害などにより7,000万を超える人が故郷を追われています。うち、2500万人以上が国境を超え、故郷に戻ることができない難民です。本フォーラムは、世界各地で難民と受け入れコミュニティの支援を続けてきたアクターが集まり、難民支援に対する新しいアプローチと長期的な取り組みを検討することを目的としています。
アジアでは、難民は420万人、国内避難民は270万人、無国籍者は220万人に上っています。すべて合わせると900万人超、これだけの人たちへの連帯がまさに必要であり、本フォーラムで議論される解決策に対して国際社会が責任を分担し、行動に移していかなければなりません。
中でもアフガニスタンは、この地域最大の難民が生み出され、最も長期にわたり移動を強いられてきました。最初の難民が発生して40年がたち、アフガン難民の登録数は270万人以上、その大半がイラン、パキスタンに居住しています。受け入れ国の負担を軽減するため、また、この長期にわたる難民問題の解決策を見い出すため、国際社会がより一体となって取り組みを進めていかなければなりません。そのために本日、本会議の前日に、アフガン危機に対する協調とパートナーシップの強化、人道と開発の相互補完を目指し、アフガニスタン、イラン、パキスタンの各政府、UNHCRが共同で「アフガニスタン難民の自主帰還、持続可能な再統合への支援および受入国への援助に向けた解決戦略(SSAR*)」の支援プラットフォーム立ち上げを発表します。
アジアはまた、2017年にミャンマーからバングラデシュに逃れてきた74万5,000人の無国籍のロヒンギャ難民の受け入れ地域でもあります。バングラデシュ南東部コックスバザールのロヒンギャ難民は現在90万人。この危機に対する解決策は、単純なものではありません。何世代にもわたって、男性、女性、子どもたちが直面してきた強制移動に終止符を打つため、多様なアクターの着実な関わり、サポートが必要とされています。
「私たちは難民の急増に直面してきた時代から抜け出す時にきている」とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は訴えます。「今週、記念すべき第1回目のグローバル難民フォーラムで特に議論すべきなのは、難民、受け入れ国・地域への支援に対して、この先10年、私たちがこれまでの経験に基づきどう力を注いでいくかべきか。また、『難民に関するグローバル・コンパクト』を踏まえた国際社会の取り組みの成果、“誰一人取り残さない”という「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成への貢献を示す機会でもある」と話します。
2018年12月の国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」は、政府、民間セクター、開発機関、金融機関、市民社会、宗教団体、そして難民自身、一人ひとりに役割と責任があるという理念を打ち出しています。
本フォーラムでの議論の成果は、資金協力、技術協力、物資支援をはじめ、難民の社会統合の拡大に向けた法整備、第三国定住の受け入れや安全な帰還の実現などに反映されます。
本フォーラムの難民の共催者の一人であるコンゴ民主共和国のジョエル・ハンギ氏は「私たちはこのような支援をもっと必要としている」と訴えます。「すでに多くの協力事例はあるが、難民が急増している今、より多くの人からの支援、政府や企業、コミュニティが難民支援のために責任を分担していく必要がある。そうすれば、私たち難民は自由と自立を取り戻し、手を差し伸べてくれた人たちに恩返しもできる」。
今回、3日間にわたりジュネーブで行われる議論、特別イベント、ハイレベル協議は、1: 負担と責任の分担、2: 教育、3: 雇用・生計向上、4: エネルギーとインフラ、5: 解決策、6: 保護のキャパシティの6つのテーマに基づいています。「難民に関するグローバル・コンパクト」の効果を示すイニシアティブや好事例の共有、人道と開発の連携の可能性についても議論されます。
また、民間セクターの役割の拡大が取り出さたれる中で、100以上の企業や基金も参加し、それぞれの業務、資金、その他の方法での難民支援への誓約も行われる予定です。
「グローバル難民フォーラム」の詳細、関連イベントについてはこちら(英語)をご覧ください。
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