毎年、UNHCRは世界中の難民がこれらの恒久的解決策のいずれかを獲得できるよう支援を行なっています。しかし、数百万人の難民、そしてさらに多くの国内避難民に対しては、こうした解決策の見通しが立っていません。UNHCRはこうした長期化する難民状況を強調し、解決に向けて動き出せるように働きかけています。多くの場合、長期的解決策が存在しないことが保護に関する問題のさらなる悪化につながっています。
難民問題への恒久的解決策は、以下の3つがあります。
難民が安全に、そして尊厳をもって自らの出身国に戻り、国からの保護を再び享受します
難民が、受入国社会に法的・経済的・社会的に統合して、受入国政府からの保護を享受します
ニーズのある難民が、難民へ定住の資格を与えることに同意した第三国へ、避難国において特定されて再定住します
3つの恒久的解決策の相補性
3つの恒久的解決策には、正式な優劣順位は存在しません。UNHCR設立後初期の頃は、第三国定住と庇護国における社会統合が多くの難民にとってより現実的な解決策と見られていましたが、時間の経過とともに、自主帰還が最も多くの難民によって求められ、また達成されてきました。3つの恒久的解決策は、本来相補的なものであり、これらが合わせて実行された時には、難民の状況を解決するための包括的で実行可能な戦略を形成することができます。自主帰還が一般的に最も実行可能な選択肢となったとしても、それがすべての難民にとって適切な解決策であるとは限らず、特定の難民にとっては、庇護国における社会統合または第三国定住の方がよりふさわしい恒久的解決策である場合があります。特に紛争後の状況では、平和と秩序が完全に回復され、行政・法的機関が効果的に機能するようになるまでに、相当な時間を要する可能性があります。そのような状況下では、特に深刻なトラウマを抱える難民にとっては、出身国への帰還によってそれが悪化する可能性があり、庇護国における社会統合や第三国定住がより適しているかもしれません。どちらの解決策が選ばれた場合でも、その成功は様々な関連機関の連携にかかっています。
恒久的解決策への包括的なアプローチ
恒久的解決策への包括的なアプローチとは、自主帰還、庇護国における社会統合、第三国定住という3つの恒久的解決策すべてを活用する取り組みを指し、多くの場合、ある庇護国または庇護地域の個々のグループごとに恒久的解決の達成をめざして、協調的に体系づけられたやり方で実施されます。このような包括的なアプローチは、難民の出身国、受け入れ国、UNHCRとそのパートナー 、そして難民自身の緊密な協力関係の下で実行されます。包括的なアプローチは、特定の状況を「解決する」ことをめざす正式なアクション・プランである場合もあれば、避難発生当初から事態の長期化を防ぐために3つの恒久的解決策をコーディネートする一体的な努力を反映する場合もあります。