スイス、ジュネーブ、2013年3月21日発
UNHCRは21日、2012年の1年間でアフガニスタン、イラク、ソマリアなどを含む長引く紛争、および新たに勃発した紛争により、先進諸国における庇護申請件数が8%増加したと発表した。中でもシリア出身の庇護申請者の増加が著しい。
UNHCRが44ヶ国で調査し、本日発表した庇護申請に関する動向によると、2012年の庇護申請件数は計47万9300件であった。2006年の減少を除けば年々増え続ける庇護申請者数の中でも2003年以来最高の申請件数であった。
高等弁務官アントニオ・グテーレスは語る。「紛争により庇護申請者の数は増加し続ける。それにより国際的庇護システムを維持することはかつてないほど難しくなってきている。紛争時においては、避難の道を閉ざさないよう、国境は避難民のために常に開かれておかなければならない。」
申請先地域別に見ると、ヨーロッパが一番が多く、38の出身国からの庇護申請が2011年においては32万7600件、2012年においては35万5500件あった。国で見ると、ドイツへの申請が最も増加しており(6万4500件、41%の増加)、次の増加したのがにフランス(5万4900件、5%の増加)、スウェーデン(4万3900件、48%の増加)と続く。33%増加したスイスでは6%増加したイギリス(2万7400件)とほぼ同件数となった。
国別で見ると、申請件数がもっとも多かった国はアメリカで8万3400人、2011年比で7400件増加した。申請者出身国としては中国(24%)、メキシコ(17%)、エルサルバトル(7%)の順で多かった。
申請総数は他の地域に比べて依然少ないが、北東アジアとオーストラリアでも増加が見られた。2012年日本と韓国では合わせて3700件の新たな申請があり、2011年比28%増となった。オーストラリアへの申請は2012年37%増加し1万5800件であった。
調査した国々を見てみると、過去5年間の増加のパターンはそれぞれ異なる。総人口数別で見ると、マルタ(人口1000人当たり21.7人)、スウェーデン(人口1000人当たり16.4人)、リヒテンシュタイン(人口1000人当たり16.1人)が著しい。経済力別に見ると、フランス、アメリカ、ドイツの順で増加している。
申請者の出身者別で見ると、アフガニスタンが依然最も多く2012年は3万6600人(2011年は3万6200人)であった。2011年は15番目だったシリアが2番目に上がっており、、2012年は191%増加して24.800人と著しく増加した。3番目はセルビア(並びにコソボ)で2万4300人、14%増加した。個人での申請は中国(2万4100人)とパキスタン(2万3200人2011年比22%増、過去最高)が多かった。
庇護申請数はすでに難民認定された難民の数でも、移民を指すものでもない。ほとんどの場合、紛争から避難する者は、故郷への帰還という希望のもと周辺国に留まっている。シリアを例に取ると、先進国へのシリア難民の庇護申請数は2万4800件であるのに対し、現在110万人以上は周辺国に難民申請をした。いずれにせよ、庇護申請は、国際安全保障と政治上の危機的状況を強く反映している。紛争があるところに難民が生まれるのだ。
世界の難民、国内避難民、庇護申請者などのデータはUNHCRが年次発行するGlobal Trends Reportから閲覧できる。最新のデータは2013年6月に更新予定である。
2012年UNHCR庇護数に関する動向(英語またはフランス語のみ)並びにメディア向け写真のリンクはこちら
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