世界難民の日(東京)
6月20日、今年の「世界難民の日」は、難民条約が採択されて60周年、その難民条約に日本が加入して、30周年という記念の年にふさわしく、これまでの道のりと今後の展望を見据える多角的なイベント開催日となった。
なんみんフォーラム主催、UNHCR共催、世界難民の日2011シンポジウムでは、日本が難民条約に加入して30周年という節目にあたり、インドシナ難民から第三国定住パイロット・プログラムに及ぶ、まさに「日本の難民保護の30年−これまでの道のりと今後の展望」と掲げ、UNHCRと共に難民支援に携わる外務省、法務省、NGO、地方自治体、研究者などが、過去をふりかえり、現在の課題、今後のとりくみを紹介し、議論した。難民の参加者からは、東日本大震災の被災地におけるボランティア活動、昨年設立した難民調整委員会、自身の困難への克服努力など、実直に語る場ともなった。会場の国連大学のエリザベス・ローズ・ホールは立ち見が出るほどの盛況で、客席には関係者以外の特に若い学生の姿が目立ち、予定時間を延長し、日本が難民問題に携った30年前と比較すると、人々の関心が広がってきていることを実感できた。
梅雨空を眺めながら、東京タワーのエントランスでは、ステージカーに「東京タワー点灯式」の準備がすすめられ、東京タワーの協力によって、初めて「世界難民の日」にタワーが青く灯されることとなった。東日本大震災の被災地でも活用されているUNHCRの太陽光発電によるエコ・ランプ(ソーラー・ランタン)が希望の明かりを灯すこと同様、東京タワーの青い光も、世界の難民から、また日本から世界に向けて「希望」のメッセージを発信することを目的に行われた。世界各地の難民から日本へ、延べ21か国から、200近い「私たちの心は日本と共にあります」などの励ましのメッセージを受け、外務省へ記念のボードの手渡し式に加え、来日中の国連事務次長、ヴァレリー・エイモス人道問題担当事務次長などのスピーチなどタワーの点灯への期待が高まった。
国連難民親善アーティストに任命された、歌手の森進一さん、ヴァイオリニストの川井郁子さん、俳優の内田朝陽さんによる異色のコラボレーションにての「ふるさと」の演奏、ミャンマーからのカチン難民の有志による伝統舞踊などテレビドラマでUNHCR職員を演じたラジオ・テレビパーソナリティーのクリス・ペプラーさんの司会によって、青くライトアップする瞬間にも道行く多くの人が、立ち止まる賑やかな記念日となった。このイベントにも多くの若い学生の参加はもちろん、ユニクロのUNHCRTシャツを着たJ-FUNユースを始めボランティアの影の支えがあった。
各会場ではUNHCR親善大使アンジェリーナ・ジョリーのビデオメッセージが流され、「家を追われ、紛争や迫害でおびえる難民が1人でも多すぎる。”do one thing” 何かひとつ始めよう」と1人ひとりが行動を起こすことを力強く訴えていた。
「世界難民の日」には、ジュネーブの大噴水、ニューヨークのエンパイヤ・ステート・ビルを始め、ローマのコロセウム、トロントのCNタワーなど世界各地のランドマークがこの日を記念し青く灯され、世界の「希望」への祈りが世界をかけめぐった。
6月20日に発表された統計によると、2010年では約4370万人が家を追われ、移動を余儀なくされている。うち、難民は1540万人、国内避難民は2750万人とされている。
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