スイス・ジュネーブ(6月1日)発、
イラン政府と協力し、イランにおけるアフガン難民の支援を実施しているUNHCRは、プログラムを遂行するためには1800万ドルが必要であると発表した。当初見積もられていた3,680万ドルの予算のうち、約5分の1しか集まっていないのが現状である。
近年イランより自主的に帰還するアフガン難民の数が停滞してきている。アフガニスタンの治安や経済状況の悪化などが原因として挙げられるが、昨年は6,000人、2008年では3,600人の難民が帰還した。現在イランにいる100万人以上のアフガン難民の97パーセントは都市部または都市部近郊で生活しており、健康、教育、生活基盤の面において負担を抱えている。
自国の経済状況の悪化などに直面するイランはアフガン難民を2世代に渡って受け入れてきているにも関わらず、十分な国際支援を受けられていない。そこでUNHCRはイランでの活動を拡大することを決定したが、教育、健康、生活支援、また難民居住区と難民が集まる都市部における給水、トイレ、その他基礎設備の整備など不可欠な支援のうち22パーセントを実行できる資金しか集まっておらず、不足分を補うには追加の1,800万ドルが必要であると発表した。
インフレの影響により、イランにいる難民の多くは食費や治療代の支払いさえ、難しくなってきている。イラン政府は2010年から実行する予定の新たな5か年経済政策の中で光熱費と食料などの必需品に対する交付金を廃止するとみられる。また難民には現金の助成金が給付されないため、難民の生活をとりまく状況はさらに悪化することが予想される。そのため、弱い立場にある難民に対する支援が特に必要である。
UNHCRは難民の自立を助けるため、更なる技能訓練やマイクロ・クレジットの提供などの実施を考えているが、それらのプログラムを遂行するには多額の予算を投入しなくてはならない。
29歳になるアミネは、イランでのUNHCRの自立支援プログラムによって支えられたひとりである。彼女は支援で得たミシンを用いて裁縫業を営むことで週に10から25ドルの収入があり、息子と高齢になる両親、兄弟の生活を支えている。ドナーからの追加支援によって、このような難民の自立をさらに支援していくことができるとUNHCRは考えている。
現在イランにおける100万人のアフガン難民に加えて、イラクからの難民も約4万8千人いる。2002年以来、UNHCRは合計で86万人以上のアフガン難民を帰還させ、また100万人もの難民が自発的に帰還している。
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