6月20日は「世界難民の日」。難民の保護と支援に対する関心を高め、世界各地で行われている難民支援活動への理解を深める日です。
UNHCRは世界難民の日の1週間前、年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート 2023」を公開。世界で故郷を追われた人が1億2,000万人、過去最多の日本の人口に対応する規模に達したと発表しました(くわしくはこちら)。
世界各地で人道危機が続き、難民や国内避難民の数は増え続けています。そんな状況下で迎えた2024年の「世界難民の日」のテーマは「#難民とともに 誰一人取り残さない社会へ」。故郷を追われた人々に想いを寄せて、日本各地でもさまざまなイベントやキャンペーンが実施されました。その一部をご紹介します。
■2024年「世界難民の日」特設サイト
今年もUNHCR駐日事務所のウェブサイト内に「世界難民の日特設サイト」を開設。より多くの人が「世界難民の日」の関連情報にアクセスできる “プラットフォーム”として、UNHCRやパートナー団体が実施する取り組みを幅広く紹介しました。
そのメインビジュアルとして使用したのが、写真家のホンマタカシさんが撮影したシリア出身のアナス・ヒジャゼィさんの写真です。ホンマさんとUNHCR駐日事務所は「瀬戸内国際芸術祭2025」に向けてコラボ企画を進めており、今回はその一環として、ホンマさんが日本国内で暮らす難民の背景を持つ若者の写真を撮影しました(くわしくはこちら)。
■ UNHCR親善大使MIYAVI
6月20日当日、まず公開されたのが、UNHCR親善大使のMIYAVIからのメッセージ動画です。2017年11月からUNHCR親善大使を務めるMIYAVIにとって、今回は7回目の「世界難民の日」。この7年間、世界各地で人道危機が止むことなく続き、「どれだけ平和を実現することが簡単でないか無力感を感じる」としながらも、「たとえ小さなアクションでも大きな輪をつくり出す。自分も親善大使として訴え続けていきたい」と訴えました。
また、このメッセージ動画では、日本で暮らす難民を支援する難民事業本部(RHQ)を視察した時の様子も紹介されました。MIYAVIは、第三国定住事業を通じてこの春に来日したばかりの難民などに対する日本語や生活ガイダンスの授業に参加し、意見交換を行うなかで、「日本でこれから大変なこともたくさんあると思う。自分が得意なことや好きなことを大事にしながら、周りの人に頼りながら、前に進んでほしい」とエールをおくりました。
■UNHCRブルーライトアップと世界難民の日こいのぼり
今年も行われたのが、日本全国のモニュメントをUNHCRブルーに染めるライトアップ。この数年にわたって、日本から故郷を追われた人々への支援の輪を広げることを目的に続けられてきたこの取り組みは、2024年は過去最大の全国59カ所にまで広がりました(くわしくはこちら)。また、世界の難民の子どもの幸せと健康を願ってファッションデザイナーの渋谷ザニーさんがデザインした「世界難民の日こいのぼり」も全国5カ所で掲揚されました。
ご協力くださった関係者の皆さん、そして、SNS上でブルーのランドマークなどを「#難民とともに」の想いを込めて投稿してくださった皆さん、ありがとうございました。
故郷を追われた1億2,000万人は、単なる数字ではない。難民一人ひとり、それぞれにストーリーがある―。そういった“難民のものがたり”を知り、想像し、伝えるために、6月15日~23日の9日間、二子玉川 蔦屋家電で「難民のものがたり展」を開催しました。会場では、「難民」「平和」「共生」「多様性」 などをテーマにした本や絵本を40冊以上紹介。各分野の専門家が選んだ多彩な本が並びました。展示で紹介した本と紹介文はブックリストでもご覧いただけます。
また、初日にはイベントが開催され、絵本の読み聞かせやトークショーを通じて、故郷を追われた人との共生社会をどのようにつくっていくか、参加者の皆さんと一緒に考えました(レポートは後日公開)。
■ビジネスの視点で難民問題にアプローチ! 世界難民の日ワークショップ
6月15日にUNHCR駐日事務所、UNDP駐日代表事務所、Youth Co:Labの共催で行われたのは、世界の難民をめぐる現状や「人道・開発・平和の連携」について深く知り、社会起業の視点から課題解決にチャレンジするワークショップ。「難民を支える自治体ネットワーク」の署名都市の中野区の協力を得て、中野区役所新区庁舎1階「シェアノマ」が会場となりました。
昨年12月にスイス・ジュネーブで開催された「第2回グローバル難民フォーラム」において、日本の強みを生かした取り組みとして「宣言」された「人道・開発・平和の連携」「女性・平和・安全保障」。この2つのテーマに重きを置いた難民支援のビジネスモデルについて、約20人の参加者がアイデアを出し合いました(レポートは後日公開)。
今年も日本全国で創意工夫あふれる取り組みが広がった「世界難民の日」。しかし、故郷を追われた人々の苦悩は今も続いています。この日をきっかけに、さらに難民支援の輪を広げていくために、そして誰一人取り残さない社会の実現に向けて、UNHCRはこれからもパートナー団体と連携し、難民を守り、支えるための活動を続けていきます。