「国境って、へだてる線ではなくて、出あうための線かもしれない」(『旅するわたしたち On the Move』)
「いつかきっと、この鳥たちのように、安心してくらせるところへ、たどりつけますように。そこが、新しいふるさとになってくれますように」(『ジャーニー 国境をこえて』)
二子玉川 蔦屋家電 2F ギャラリー1には、そんな本の中の印象的な一節が大きく展示されています。
ここで紹介されているのは、UNHCR親善大使のMIYAVIをはじめとする著名人、著者・翻訳者、難民の背景を持つ方など、さまざまな人々が選んだ難民支援への一歩を踏み出すきっかけとなる40冊以上の本です。
6月20日は国連の定める「世界難民の日」。
「世界難民の日」に関連して、UNHCR駐日事務所では6月15日(土)から6月23日(日)にかけて「PLACE OF HOPE 難民のものがたり展」を二子玉川 蔦屋家電の1F POP-UPスペースと2F ギャラリー1にて開催しています。
世界難民の日:
紛争や迫害から逃れることを余儀なくされた人々の苦境に立ち向かう勇気を称える日として2000年12月4日に制定されました。
困難に立ち向かい乗り越えていく難民に共感と理解を深め、難民の保護と支援に対する世界的な関心を高めるためのさまざまなイベントが世界中で開催されています。
今回展示している41冊の本は絵本や小説、ノンフィクションと、非常に幅広いラインナップとなっています。
ここでは、その一部をご紹介します。
▼UNHCR親善大使・MIYAVIの紹介
『バタフライ 17歳のシリア難民少女がリオ五輪で泳ぐまで』
コメント: UNHCR親善大使として僕の仲間の一人でもある、シリア出身のユスラ·マルディニさん。「難民選手団」の一員として、五輪の旗を掲げる彼女の姿を見た人は多いと思います。故郷のシリアで水泳の選手だった10代の少女が、紛争で故郷を逃れるために海を渡ることを決断し、途中に沈みかけたボートから海へ飛び込み、一晩中ボートを押し人々の命を救った――。年齢や性別、経験なんて関係ない。強い意志があれば、なんだってやり抜くことができる。彼女の勇気とその生き抜く力に、ぜひふれてみてほしい。
▼写真家・ホンマタカシさんの紹介
『第七の男』
コメント: 無力だけど、写真にできることが、まだ少しあると思わされた
▼翻訳家・作家の野坂悦子さんの紹介
『パパがしげみになった日』
コメント: あたしのパパはお菓子屋さん。でも戦争に行って、“しげみ” に変装するんだって。あたしはバスでひとり、となりの国に住むママのところへ行くことになったけど、“国境”ってものがあって、なんだか思ったより大変みたい……。ちょっととぼけた女の子、トダが語る戦争は、こんなのってヘンだよ、と思わされる出来事ばかり。戦争の本は怖くてイヤと
感じる子にも、難民ってなんだろう?と考える子にも、おすすめできる一冊です。
▶ブックリストの一覧は、「PLACE OF HOPE 難民のものがたり展」特設ページにてご覧いただけます。
この展示は今後、巡回展として全国各地の図書館などでも展開を予定しています。
ウクライナで空爆を受けた学校で回収した「燃えた教科書」も
1F POP-UPスペースには、ウクライナから届いた「燃えた教科書」も展示されています。
表紙の焼けた数学の教科書は、かつてウクライナの子どもたちが使っていたもの。
この教科書は2023年1月10日に空爆を受けたウクライナ東部ハルキウ州ヴィルフヴァトカ村の学校の焼け跡から、UNHCR職員が回収しました。
故郷から避難を余儀なくされた人の数は、2024年5月時点で、過去最多の1億2,000万人に到達しました。故郷を追われる人々の数は、12年連続で増加の一途をたどっています。
このように支援を必要とする人の数は年々増加する一方で、「難民」と聞くと、どうしても遠い存在に感じられてしまうという方も少なくないのではないでしょうか。
そんなあなたにこそ読んでほしい本を今回の展示ではそろえています。
まずは一歩目を踏み出すきっかけとして、自分が気になる一冊を手に取るところから、はじめてみませんか?
その一冊が、あなたにとっての「運命の一冊」になるかもしれません。