UNHCRは、アフリカの人道危機に備え、対応する現地の人道支援従事者の能力強化の一環として、新たな訓練プラットフォームを立ち上げました。
新プラットフォーム「アフリカeセンター」の設立を受けて、5月14日~16日、ケニアの首都ナイロビで3日間のワークショップが開催され、アフリカ12カ国から政府や人道支援組織が一堂に会しました。
今回アフリカで設立されたのは、すでにアジア・太平洋地域でスタートしている「eセンター」にならったプラットフォームです。
UNHCR緊急事態・保安・供給局長の下澤祥子は、「UNHCRは、人道危機において、現地のアクターとの連携のもとに保護、支援、そして解決が進められることが最善であると認識しています。アフリカeセンターは、緊急事態に必要不可欠な現地の能力強化を進めるうえで素晴らしい方法であり、命を救うための取り組みがより効果的に機能するようになると期待しています」と話しています。
「アフリカeセンター」は、2023年12月に開催された「第2回グローバル難民フォーラム」での上川陽子外務大臣の声明を受けて、日本政府からの資金協力を受けて運営されています。
荻原宏 在ケニア共和国日本国臨時代理大使は、「人道支援従事者が、増え続ける脆弱な人々を献身的に支援し続けることは容易ではありません。アフリカeセンターは、彼らの仕事を効果的に進めるために必要なトレーニングを提供し、日本政府の優先事項でもある、より平和で安定した環境づくりへの貢献を行っていくためのプラットフォームです」とコメントしています。
緊急事態が発生した時、最初に対応するのは、現地にいる政府や組織、コミュニティ自身であることが多く、故郷を追われた人々の支援にも全力を尽くし取り組んでいます。アフリカeCentreは、人道支援に従事するパートナーの知識と技術に基づき、それぞれのニーズに応じてテーマを絞った学びの機会を提供し、その対応と取り組みを強化するものです。さらに、現地のアクター間の連携を促進し、経験を共有し合い、今後の対応に向けて好事例を積み上げていくことも目指しています。
アフリカ連合委員会 保健・人道問題・社会開発局のセスマ・ミナタ・サマテ大使は、「アフリカ連合は、まさに私たちの人道アジェンダに沿った、この素晴らしいイニシアチブを歓迎します。アフリカでは、故郷を追われた人々の受け入れが不均衡なほどに増え続けています。そのなかでアフリカ連合は、アフリカeセンターのようなプラットフォームができることで、加盟国と連携し、そして既存の世界的な人道システムを通じて、人道支援への対応の調整を行うことができます」と話します。
2024年、アフリカeセンターは、4回の能力強化ワークショップとオンラインでのフォローアップセッションを通じて、緊急事態における人道交渉、緊急事態への準備、対応の3つのテーマに焦点を当て、現地当局と非政府組織を対象に英語とフランス語で訓練を提供します。
過去3年、UNHCRは全世界で150近くの緊急事態に対応してきており、その半分以上がアフリカです。現在、スーダン、モザンビーク、ブルキナファソなど紛争が再発し多くの人が避難を強いられている国、また、ケニアやソマリアなど難民が洪水による深刻な影響を受けている国など、アフリカで起こっている人道危機において、UNHCRは必要な支援と保護サービスを提供するために、現地の政府やパートナー団体と連携しています。
2024年4月30日現在、アフリカでは4,200万人以上が避難を強いられています。
▶プレスリリースの原文(英語)はこちら