日本政府は、UNHCRがアフガニスタンで実施している人道支援に対して、総額17億9,700万円(約1,350万米ドル)の無償資金協力の実施を決定しました。
12月5日に日本政府とUNHCRの間で交換公文の署名と交換を、12月23日に国際協力機構(JICA)とUNHCRの間で贈与契約の署名と交換を行いました。
アフガニスタンは、世界で最も深刻かつ複雑な人道危機が続いている国のひとつです。40年以上にわたる紛争と情勢不安、さらに近年では、干ばつ、新型コロナウイルスの感染拡大、食料危機などの影響が拡大しており、市民の生活は困難な状態が続いています。
なかでも南部はこの約20年間、他の地域に比べて紛争の影響をより多く受け続けています。情勢不安から市民の域内での移動も制限されているだけでなく、紛争の影響により国境地帯のアクセスが困難であることから物流も停滞しています。就労の機会も限られ、安全な水へのアクセスや衛生サービスの整備も十分でなく、コレラなど感染症の拡大も懸念されています。
また、2021年8月のタリバン政権の全土掌握以降、この地域では国内避難民、帰還民が増え続けており、そもそも脆弱な公共サービスにさらなる負担が生じています。
今回の日本政府を通じて行われるアフガニスタン南部での支援は、UNHCRとJICAによる協働プロジェクトです。アフガニスタンの人々の生活環境の改善に向けて、人道から開発まで、切れ目のない支援の実現を目指します。
具体的には、南部の国内避難民、帰還民、受け入れコミュニティに対して、教育、医療、水と衛生、インフラ整備など、日々の生活に必要なサービスの強化を行います。また、女性、若者など、特に脆弱な立場にある人々に対する生計向上の機会提供のための支援も実施します。
日本は2023年12月に開催予定の「グローバル難民フォーラム」の共同議長国となることが決定しており、日本政府をはじめ、日本のステークホルダーによって実施されている難民支援の取り組みの共有、さらなる貢献への期待が高まっています。
【主な支援内容】
・教育(学校建設、教員研修)
・医療(医療施設の整備、助産師の訓練、訪問診療の強化)
・コミュニティのインフラ改善(配水システムの整備、女性への就業機会の拡大に向けたコミュニティセンターの設立)