シャビア・マントゥUNHCRスポークスパーソン報告(2022年3月1日)
UNHCRが収集した最新の政府のデータによると、この6日間で、約66万人の難民がウクライナから近隣国に避難しています。
このぺースでいくと、今世紀最大のヨーロッパ難民危機になることが予想され、UNHCRは可能な限り、迅速かつ効率的に人道支援を行うためにリソースを駆使しています。
ウクライナから逃れてくる難民に対して、すべての近隣国は、国境を確実に開いておくことが重要です。ほとんどがポーランド、ハンガリー、モルドバ、ルーマニア、スロバキアに逃れていますが、ヨーロッパの他の国々に避難している人もいます。ロシアにもかなりの数の人が移動していることを確認しています。難民の登録、受け入れ、住居の確保、保護の責任は、それぞれの当局が担っています。
私たちは、難民を受け入れている国々、当局、地元のコミュニティの人々が、連帯と思いやりをもって対応していることを確認しています。
UNHCRは各国政府に対して、ウクライナ人、ウクライナ在住の第三国出身者、暴力から逃れ避難を余儀なくされているすべての人々に、それぞれの国へのアクセスを維持し続けるように呼び掛けています。誰であれ、どのグループであれ、差別があってはならないことをここに強調します。
UNHCRは長年にわたり、ポーランド、ハンガリー、モルドバ、スロバキア、ルーマニアを含むこの地域で活動してきており、現在もそれぞれの当局の支援を受けながら、国連機関、NGOのパートナーと連携して難民支援にあたっています。私たちは追加のリソース、スタッフを投入し、現場での活動を強化しています。また、必要に応じてカードを通じた現金給付の支援を行う準備もしています。子どもの健康と保護を担当している専門官らにより、UNHCRとして現地当局を支援する準備もできています。
<ポーランド>
UNHCRの現場のスタッフの報告では、ウクライナ側から国境に向かって何マイルもの避難の列が延びています。国境を越えた人々は最大60時間待ったとも話しています。国境に到着する大半は女性と子どもでウクライナ全土から避難してきています。凍える寒さの中、陸路で国境を渡るために何日も待っている人が多くいます。UNHCRは当局と調整を図りながら提供可能な支援を行い、ウクライナ国内のパートナー団体とも連携しています。UNHCRはポーランド入国を希望する第三国出身者が直面している困難も確認しており、国際的な保護を必要とするすべての人が必要な手続きにアクセスできるよう、当局と連絡を取り合っています。自分で宿泊場所を探す難民もいれば、難民に宿泊場所を提供している地元のコミュニティ、一時滞在施設で過ごしている人もいます。
UNHCRは2月24日以降、ポーランドとウクライナの国境でモニタリングを続けているほか、新たに確保したジェシュフの国境の倉庫にUNHCRグローバルの倉庫から緊急援助物資を運んでいます。UNHCRポーランド事務所には、難民から情報や支援を求めるリクエストが殺到しています。UNHCRはポーランド国内の法律分野のパートナーを通じて、新たに到着する人々に必要な情報や法的サービスを提供しています。
<ハンガリー>
UNHCRは国境で難民の数の把握などを行っており、政府に対するサポートを強化する準備もできています。常に一定数が到着し、待ち時間はさまざまです。必要な審査と登録を経て、ウクライナ人、その他の国の出身者は待機場所に移動して庇護申請ができ、一時的な書類が発行されます。自治体の人道支援団体やコミュニティの人々によって支援が提供されています。
<ルーマニア>
ルーマニアに入国するための列は最大20時間まで延びています。現地当局は宿泊場所や移動手段を手配し、新しく到着する人々は国境から受け入れ施設などに移動しています。移動手段や宿泊場所を地元のコミュニティが寛容にサポートしており、ホテル代を支援する民間企業もあります。ボランティアにより、翻訳サービスなどさまざまな実務的サポートが提供されています。パートナー団体と連携してすべての主な国境地点に拠点を立ち上げ、UNHCRは現在シレトとイサクチャを担当し、政府主導でニーズやサポートを調整するタスクフォースにも参加しています。新しく到着する人々に庇護申請に関する情報を提供し、パートナー団体を通じて、法的アドバイスやこころのケアも行っています。また、24時間対応のホットラインを開設し、難民を対象としたオンラインのヘルプページをウクライナ語で提供しています。
<モルドバ>
ウクライナ南部のオデーサとモルドバの国境では、約60キロの道のりの移動に24時間かかっています。新しく到着した人は一時滞在施設やそのほかの指定場所に滞在しています。自分で宿泊場所を見つける人もいれば、地元のコミュニティが受け入れている人もいます。UNHCRは受け入れの規模を拡大するための支援をはじめ、毛布、寝袋、衛生用品など必要な緊急援助物資の提供などを実施しています。追加物資を積んだドバイからの空輸便が明日到着予定です。パートナー団体も国境の各ポイントで活動しており、新たに到着した難民にカウンセリングを提供しています。
<スロバキア>
2月24日以降、UNHCRは5つの国境ポイントのうち4つへの訪問を続けています。他の近隣国と比べるとスロバキアに逃れてくる人は少ないですが、政府は難民に対して開かれた受け入れの方針を執っており、迅速に庇護手続きを進めるために庇護関連の法律の改正をただちに行いました。地元のコミュニティからも金銭面でのサポートのほか、食料や衛生用品などの物資の提供、無料の交通手段や宿泊施設の手配も行われています。地元の自治体や村々は、難民の一時的な滞在施設を立ち上げています。
<ウクライナ>
UNHCRはウクライナ国内で故郷を追われた人や紛争の影響を受けた人への対応を強化しています。しかし情勢不安や治安への懸念があり、人道支援者に対する安全や移動の自由が十分に確保されていないことが、UNHCR職員を含めた人道支援者にとって大きな壁となっています。UNHCRは安全が確保されている場所で活動を実施し、国内避難民のリーダーたちとも連携しながら、人道支援のニーズの把握、国内避難民の安全な受け入れ場所の確認などを行っています。また、人道支援のアクセスが比較的容易なウクライナ西部の国内避難民に対する支援の準備を進めているほか、故郷を追われた市民への必要な保護と情報を提供するためのホットラインをウクライナ全土で強化しています。
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