日本政府は令和2年度補正予算から、イランでのUNHCRの活動に125万米ドルの支援を決定しました。この新たな拠出は、UNHCRがイラン内務省外国人移民管理局(BAFIA)と連携して、2021年を通じて行う難民支援の強化への多大な貢献が期待されます。
「イランではこの1年、新型コロナウイルスによりすべての人の生活が劇的に変わり、難民の生計手段、身心の健康は特にひどいダメージを受けています。今回の日本の支援は、40年以上にもわたり、イランが寛容に受け入れてきたアフガン難民に対する支援の国際的な責任の共有ともいえます。特に医療、教育において難民が国の政策の恩恵を受け続け、未来を自身で切りひらいていくうえで必要不可欠な支援です」とUNHCRイラン代表は感謝を述べました。
これに対し、相川一俊 駐イラン日本国大使は「日本政府は、イランの人々の40年以上にわたる難民への寛容さと思いやりに敬意を表します。日本も『アフガン難民解決戦略(SSAR)支援プラットフォーム』のメンバー国として、『難民に関するグローバル・コンパクト(GCR)』の軸となる国際社会の責任の共有の重要性を強調していかなければなりません。SSARの目標達成に向けて、イラン、UNHCR、その他のステークホルダーと連携を続け、今回の日本の支援も難民の生計向上と基本的ニーズの改善につながることを切に願っています」と話しました。
2019年12月に国連総会で採択されたGCRでは、難民支援における国際社会の責任の共有が理念として掲げられています。政府、国際組織、その他ステークホルダーが連携し、受け入れコミュニティが必要な支援を受け、難民が豊かな生活をおくれるよう、社会全体での取り組みの重要性が説かれています。
今回の日本の支援は、プライマリーヘルスケア、教育へのアクセス改善に加えて、生計向上、職業訓練、小規模ビジネスや難民へのワークショップに対する支援なども含まれます。こういった支援は、難民がイランの受け入れコミュニティに対して積極的に貢献し、ここで得た新たなスキルを自主帰還が可能になった時に母国で生かすうえで非常に重要です。
その例として、サルべスタン難民居住区で開かれたUNHCRによる仕立てのワークショップが挙げられます。新型コロナウイルス対策としてマスクの製造がおこなわれ、イラン全土の医療、人道支援団体に配布されました。適切な機会さえあれば難民も受け入れコミュニティに貢献できるという好事例です。
また、日本の支援は難民居住区や遠隔の都市部の基本的なインフラ整備にも活用される予定です。
日本はアフガン難民支援において、UNHCRにとって最大のドナー国のひとつです。今年、日本政府はUNHCRのパキスタンでの活動に150万米ドル、アフガニスタンでの活動に500万米ドルを含む総額770万米ドルを、世界で最も長期化、二番目の規模の難民危機への対応として支援しています。
日本は2020年、12の他の国や組織とともにSSARのコアグループのメンバーになりました。UNHCRはイランでは政府との連携のもとSSARの戦略的枠組みに従って活動しており、国際社会からの支援を受けながら、国の政策、特に医療、教育、生計向上での支援強化を目指しています。
イラン政府は何十年にもわたって難民に対して先進的な政策を進めていますが、その寛容な政策の維持にさまざまな困難が生じています。人道支援のニーズは増え続け、新型コロナウイルスのパンデミックの影響も続いている今、国際社会からのさらなる支援が必要です。
イラン政府からの最新情報によると、イランはアフガン難民78万人、イラク難民2万人を受け入れており、世界最大の難民受け入れ国の上位10位に入っています。これらの難民のうち、96%は都市部でイランの受け入れコミュニティの人々と、残りの4パーセントは政府が管轄する難民居住地に暮らしています。
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