日本政府は、人道危機に直面するアフリカ7カ国に対する支援として、2,890万ドル(31億7,900万円)の緊急無償資金協力の実施を決定しました。
このうち、中央アフリカの総選挙後の治安悪化に起因する人道危機に対して、総額100万米ドル(約1億1千万円)がUNHCRの人道支援に充てられます。
2020年12月末に中央アフリカで行われた大統領選挙、議会選挙後の武装勢力による襲撃により、中央アフリカでは新たに約10万人が国内で避難を余儀なくされ、また11万人を超える人々が国境を越えて、カメルーン、チャド、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国へと避難しています。中でもコンゴ民主共和国には約9万2,000人が避難しており、シェルター、水・衛生環境の整備、医療施設の設置が急務となっています。
今回の資金協力を通じて、コンゴ民主共和国では、家族用シェルターの建設、井戸の設置、保健施設の建設が行われます。故郷を追われた人々が、キャンプでの暮らしではなく、受け入れコミュニティと共存しながら自立した生活を送れるよう作物の栽培なども支援し、受け入れコミュニティの生活向上にも貢献します。
中央アフリカでは、武装勢力の襲撃などにより、女性に対する暴力、両親と離ればなれになってしまった子どもなどが増加し、保護に関するニーズが高まっています。そのため、コミュニティへの働きかけを通じ、性とジェンダーに基づく暴力の予防、被害者への包括的な対処・支援を行います。
中央アフリカでは、2019年2月に政府と各武装勢力との間で和平合意が署名されましたが、その後も情勢不安が続いてました。今回の人道危機により国内および周辺国への新たな強制移動が発生し、事態は深刻化しています。
これに加え、新型コロナウイルスが難民や国内避難民に与える影響は大きく、UNHCRは感染予防策を講じながら支援活動を行っています。
UNHCRは今回の人道危機に対して、国際社会からのさらなる緊急支援の必要性を訴えています。
【支援内容】
中央アフリカ:
・性とジェンダーに基づく暴力の防止、サバイバーへの医療・心理ケア、
サニタリーキット配布などの支援
コンゴ民主共和国:
・シェルター建設(約1,300人)
・井戸の設置(約4,000人)
・保健施設の建設支援(約1万人)