日本政府は、アゼルバイジャンとアルメニアとの軍事衝突に起因する人道危機へのUNHCRの人道支援に対して、総額235万米ドル(約2億585万円)の緊急無償資金協力の実施を決定しました。
2020年9月末にナゴルノ・カラバフの帰属に起因するアゼルバイジャンの軍事衝突が両国間のコンタクトラインで発生し、その影響はナゴルノ・カラバフと隣接する地区にも急速に広がりました。11月9日の停戦合意後もアルメニアで約9万人、アゼルバイジャンで約3万人が帰還できず、人道的支援が急務となっています。
今回の資金協力を通じて、アルメニアでは故郷に帰還できず、学校などの公共施設、壊れた家屋などで共同生活する人々の居住環境の改善のため、施設の修繕、シェルター支援が行われます。
また、コミュニティをベースとした保護活動として、心理的ケア、子どものケア、法的カウンセリングに加え、障がいをもつ人や高齢者など特別な支援を必要とする人たちへのサービスの改善が行われます。
アゼルバイジャンでは、政府による帰還ロードマップ策定へのサポート、住居や不動産に関する法的支援、越冬支援のために必要な物資の配布が実施されます。
これらはすべて、紛争を逃れ長期化する避難生活を送る人々が必要な権利・サービスを享受し、安心して生活するために極めて重要な支援です。
今回の人道危機は、アルメニア、アゼルバイジャン両国が、新型コロナウイルスの感染対策を行っている中で起きました。脆弱な保健システム、密集した居住地や共同生活により感染のリスクは高まり、軍事衝突による社会経済的な影響がをさらに悪化しています。
このような状況下で、UNHCRは新型コロナウイルスの感染予防策を講じながら支援活動を行っており、今回の人道危機に対する国際社会からのさらなる緊急支援の必要性を訴えています。
【支援内容】
アルメニア:
・心理的ケア、子どもの支援を含む保護活動(約1万人)
・シェルター、コミュニティー支援(約6,600人)
アゼルバイジャン:
・越冬支援の物資配布(約6,400人)
・法的支援、政府による帰還ロードマップ策定への支援