「私たちの真上で砲撃がありました。故郷を追われるほど恐ろしい経験はありません」
2019年4月から1年以上続いたリビアの首都トリポリの暴動により、20万を超える人が避難を余儀なくされました。その中にハナン家族も含まれていました。
ハナンは8カ月にわたり、窓もドアも階段もない、まだ完成していないアパートで過ごしました。「隣人や静かな生活、心の平穏、すべてが奪われてしまったのです」。着の身着のまま、資金も十分になく、ハナン一家には他に選択肢がありませんでした。
UNHCRはリビアの国内避難民への支援として、パートナー団体と連携し、プリペイドカードを使用した現金給付の支援を導入しました。食料、水、医療、住まいなど、それぞれが必要なニーズを尊厳をもって満たすための支援です。ハナンは月3回のチャージ付のプリペイドカードで、食べ物や薬などを自分で“選択”し、家族に必要なものを購入しています。
「食料品や持病の薬、娘たちの身の周りのものを買いました。コロナ禍で物価が高騰しているので、経済的な支援はありがたいです」。現金を引き出すために、銀行で何時間も待つ必要もありません。「カードの方がいいですね。使いやすいです」。
トリポリでの争いは6月に終結しましたが、多くの地域ではまだ爆破の危険があり、建物への被害も広範囲におよんでいるため、安全に帰還できる環境ではありません。
「冬が来る前に帰りたいです・・・とても」
ハナンの家は破壊されていませんが、完全に略奪され、荒らされた状態でした。新しい水タンクを入れたり、電気をつけたりなどの修理が必要です。さまざまな困難の中で、家族とともに苦しい時間を過ごしながら、自宅に帰れる日を待ち望んでいます。
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