2020年8月4日、レバノンの首都ベイルートで壊滅的な爆発事故が発生しました。現時点で確認されている200人を超える死者・行方不明者の中に、残念ながら、少なくとも34人の難民の犠牲者が含まれていたことが報告されました。
今もなお、UNHCRの現場チームが現状の確認を行っており、ベイルートで避難生活を送る約20万人の難民からさらに犠牲者が増える可能性もあります。現在、行方不明が7人、爆撃による負傷者が124人、うち20人が重症であることが分かっています。
UNHCRは引き続き、救命チーム、他の人道支援団体と連携しながら、被害者の確認を進めるとともに、愛する家族を失った人々の支援を強化し、カウンセリング、緊急の現金給付、葬儀の準備の支援などに取り組んでいきます。
今回の爆発の被害は、国籍や立場に関係なく、すべての人におよんでいます。この大惨事に対するUNHCRの緊急人道支援は、レバノン人、難民、移民労働者も含めて、コミュニティのすべての人を対象としたものです。中でも最も弱い立場にいる人、2つのエリア中心に、シェルターと保護の提供を進めています。
第一段階として、最も被害を受けた地域近隣の戸別調査が行われ、8月9日に必要な人々への物資配布を開始しました。爆発の深刻な影響を受け、緊急に支援を必要としているのは、約1万世帯との推計が出ています。
現在の優先事項は、緊急に耐久性のある住まいを必要とする人への支援です。玄関や窓の安全を確保し、プライバシーと尊厳を維持しながら、外的環境、安心と安全の保護を行います。ベイルート市外に避難した人々も支援の対象としています。
現金給付による支援は、あらゆる用途の安全の確保に活用できるため、早急に必要な修理費を賄うことができる最も有効な方法です。食料の確保、基本的なニーズや医療費にも使うことができ、中期的には、小規模の修理・復旧、共有場所の修復などにも使用されることになります。
UNHCRの保護活動は、コミュニティ主導で行われている取り組みを尊重し、医療機関の紹介、心理面に傷を負った人の応急処置、コミュニティ内の情報伝達、連帯のイニシアティブなど、まさに最前線で対応に携わる人たちの努力を直接サポートするものです。
その活動を市民社会との連携にも広げ、新しいコミュニティの構造、独自のイニシアティブの把握にも努めます。また、多くの人がトラウマや愛する人を失って苦しんでいることから、UNHCRが緊急に介入すべき重要な分野として、メンタルヘルスや心理面のサポート、心理的応急処置(PFA)が挙げられます。
UNHCRと活動を共にするコミュニティグループ、支援ボランティア、パートナー団体はPFAに必要なトレーニングをすでに受けており、心理面のサポートの提供、コミュニティのネットワークとの連携に取り組んでいきます。
長年にわたり、経済危機や新型コロナウイルスのパンデミックなど困難な時期にも、難民を寛容な姿勢で受け入れてきたベイルートやレバノンの人たちに対して、UNHCRは今まさに確固たる国際的支援が必要であることを訴えます。
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