世界保健機関(WHO)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、世界各地で故郷を追われている数千万人に対する公衆衛生サービスの強化、発展のための連携協定に調印しました。
今回の調印は、1997年に結ばれた協定を更新・拡大するもの。新型コロナウイルスの感染から7000万を超える人々を守る活動のために、今後さらに連携を強化していくことを主な目的としています。うち2600万人の難民の8割は医療システムが脆弱な低中所得国に避難しており、4000万人の国内避難民も支援を必要としています。
UNHCRとWHOは、世界で最も弱い立場にいる人たちの健康を守るために、20年以上にもわたり世界各地で活動を共にしてきました。緊急事態の発生時から長期化する危機の全過程において、すべての地域の難民に医療サービスを届けるべく連携し、また、受け入れ国の公衆衛生に関する政策の対象に難民や国内避難民、無国籍者も含まれるべきだと訴え続けてきました。
また、今回のパンデミック拡大を抑えるため、故郷を追われた人々を新型コロナウイルスを含む健康を脅かす危機から守るために、必要な医療サービスのアクセス改善に向けても協力しています。
「UNHCRとWHOの長期的パートナーシップは、新型コロナウイルスをはじめとした緊急事態に対応してくために必要不可欠です。それは、故郷を追われた人たちの命を日々救っていくためのものでもあります」とフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官。「今回のパートナーシップ強化は、難民、庇護申請者、国内避難民、無国籍者の直接的な利益につながります。世界各地の活動における公衆衛生の解決策に両組織のリソースを最大限に活用し、より効果的な緊急対応につなげていく」と訴えます。
テドロス・アダノム・ゲブレイェススWHO事務局長は「連帯の理念、脆弱な環境下にある人を救うという目的は、WHOとUNHCR両組織の活動の根幹をなすもの」として、「故郷を追われたすべての人の健康を守り、必要な医療サービスをいつどこにいようと受けることができるよう、私たちは協力体制にある。今回のパンデミックにより、私たちが思いを一つにして連携していくことがいかに重要であるかが強調された。そうして達成できることが多くある」と話します。
今回の調印では、UNHCRの「WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金」への参加も決定しました。この基金は、WHOによる新型コロナウイルス感染症の予防、発見、対応への支援に対して、世界中の個人、企業、団体が直接貢献できるこれまでにない形態の基金です。今年3月13日に設立され、これまで2億1400万米ドルが集まっています。
UNHCRはこの基金から1000万米ドルの支援を受け、危機コミュニケーションや衛生習慣に関するコミュニティでの活動、衛生・医療物資の提供、ヨルダン、ケニア、レバノン、南スーダン、ウガンダなどでの隔離施設の設立といった緊急ニーズに対する活動を強化しています。またこの基金は、世界規模での革新的な準備活動もサポートします。
「UNHCRはこの基金への参加を通じて、WHOと現場レベルで連携しながら、新型コロナウイルス感染症への準備、予防、公衆衛生の取り組みを適切に導入し、難民、国内避難民、受け入れコミュニティに必要とされている支援を届けることができる」とグランディ高等弁務官は話します。
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