東京(20日)発――アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、6月20日の「世界難民の日」にあたり、難民は自らの意思に反して移動する人々であることを強調し、遠く離れた難民キャンプだけでなく、身近な地域でも難民を助ける方法があると述べた。
「難民とは自らの意思に反して移動する人々である。難民は、故郷を追われ、紛争や迫害によって家族が離ればなれになり、安全を求めるためだけに移動している。『世界難民の日』は、世界中の多くの難民や移動を強いられた人々の水、住居、保護から寛容にいたる彼らが緊急に必要としているものに目を向ける機会。私たちの取り組みに協力してほしい。人里離れた難民キャンプでも、あなたの身近な地域でも、いつも難民を助ける方法はある。まず、難民が自らの選択で故郷を後にしたのではない、ということを思い出すことから始めてほしい」。
また、滝澤三郎UNHCR 駐日代表は、「日本での統一テーマを『難民との共生』として、さまざまなイベントを実施している。難民問題の本質的原因は、自分たちと違う人々を差別し、排除しようとする人々の(そして私たちの)態度にある。難民は人種、宗教政治的意見などの理由による迫害(差別と排除)や紛争を逃れて国を離れた人々であり、難民問題の解決には差別と排除を克服して意見の異なる人々が『共生』することが欠かせない。『難民との共生』の考えを、日本の国のあり方を見直すきっかけにしてほしい」と述べ、「世界難民の日」を機に、平和で豊かな日本に住む私たちに今何ができるか考えて欲しいと訴えかけた。
UNHCR 駐日事務所では、6月20日(水)、シンポジウム、写真展、模擬難民キャンプ等のイベントを開催した。ジャパン・プラットフォーム、日本UNHCR 協会との共催で実施された「人道支援と企業のCSRの『共生』を目指して」と題したシンポジウムでは、日本政府や企業、難民支援に携わるNGOが参加し、「人道支援」と「企業のCSR」の「共生」の可能性を模索。また、難民問題や人道支援に関心を持つ学生の組織「UNHCRユース」が正式発足した。このUNHCRユースの発足には、UNHCRスペシャルサポーターの菊川怜さんも応援に駆けつけた。さらに、国連大学ビル中庭周辺では、内閣府、日本UNHCR-NGOs評議会(J-FUN)参加NGOの協力により難民支援現場で実際に使われるテントが組み立てられ、五感を通して難民の生活を体験するイベントが実施された。
今後、写真展がUN ギャラリーにて、6月29日(金)まで「NGO による活動パネル」、7月13日(金)まで「コロンビアの国内避難民、ネパールのブータン難民」と題し行なわれる。6月24日(日)には、味の素スタジアムで、J リーグ 東京ヴェルディ1969の協力のもと、UNHCR とJ-FUN 参加のチャリティーイベントが実施される。
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