2011年にUNHCRとグローバルパートナーシップを結んだユニクロは、ふたつのインターン派遣プログラムを開始しました。日本に住む難民の自立支援としてユニクロ店舗で職業体験の場を提供する「難民インターンシップ」。もうひとつは「難民キャンプ派遣プログラム」です。これはユニクロ従業員を半年間2名ずつ年間4名を難民キャンプに派遣し、衣料ニーズの把握や全商品リサイクル活動に基づく衣料配布などを行うものです。
この「難民キャンプ派遣プログラム」のインターンとして去年9月からバングラデシュのUNHCRコックスバザール事務所に派遣されていた秀嶋千明さんと仲栄真美咲さんが帰国し、2月22日UNHCRで報告会を行いました。
お二人の主な活動内容
1、バングラデシュの難民キャンプで配布した約10万着のユニクロリサイクル衣料がどのように役立て られているかを調査すること
2、難民の女性の衛生環境の改善、経済的自立の為、繰り返し使える布製サニタリーナプキン(生理 用品)を難民キャンプ内で生産配布する仕組みを作ること
ぜひ行きたい!と手を挙げて選ばれたお二人はどちらもユニクロ店舗の元店長さん。難民やUNHCRについて、また全店舗で展開する全商品リサイクル活動の意義についてお客様や従業員に伝える時「実際に見て、自分の言葉で伝えたい」と感じていたそうです。
まず難民キャンプでどんな服を皆が欲しているのか。すでに実施されていたユニクロ衣料配布に問題がなかったか確認するとともに、個別の聞き取りを行い、年齢や性別ごとに詳細なニーズの調査をしたそうです。それらの結果を反映させ、再度ユニクロリサイクル衣料を難民キャンプ内に届けました。届いた服を「誰が、いつ、どのようにしたら、平等に、その人に合ったサイズの服を、混乱なく効率よく手わたせるか」を考え、地元NGOの協力のもとマネジメント研修もおこなったそうです。「服を手わたす」のは単純なことではなく、事前の準備がないと気持ちよく手わたせないと感じたお二人が、店長経験を生かして考え出したアイディアでした。
-布製サニタリーナプキンを生産するプロジェクトについて教えてください
仲栄真さん:布製のサニタリーナプキンを生産するプロジェクトは、衣料の支援だけにとどまらない、ユニクロができる難民支援の新たな挑戦でした。現在難民キャンプ内では、UNHCRの監督のもと毎日生産が行われています。生産に携わった女性たちはごくわずかですが収入が得られるような仕組みです。バングラデシュの難民キャンプは長期化し、解決への道のりが長いという印象を持ちますが、このような取り組みは難民の方々の収入につながり、自立のための職業訓練という側面もあります。企業のノウハウを活かしてサポートしていくというこのプロジェクトはとても興味深く、やりがいがありました。
-プロジェクトを進めるにあたって大変だったことは?
仲栄真さん:店長をしていたときには社内の関係者との関わり合いが主でしたが、今回のプロジェクトでは生地の取引先工場やNGO団体、UNHCR、ユニクロと関係者が多く、現地で慣れない英語を使ってプロジェクトを進めていくことは個人としても大きな挑戦でした。特に生産と配布を担当するNGO担当者とは密に連絡を取り、直接会って毎回互いの考えを100パーセント理解しているか確認するように心がけました。
-嬉しかったことは?
秀嶋さん:難民キャンプでユニクロの服を着ている子どもに会った時はとても嬉しかったです。ユニクロの服は無地でも一目見てわかるんです。いつ頃どんな思いで自分が店舗で売っていたのかまで思い出します。自分たちが思いを込めて日本で売った服が、その後回収され、ここでまた役立てられていることに喜びを感じました。
-インターンを通して感じたことは?
秀嶋さん:日本で働いていた時はあまり意識しませんでしたが、難民支援に携わるスタッフの多くがとても家族を大切にしているのが素敵だと感じました。一生懸命働くだけではなく、10カ国以上の多国籍なチームの中で、常に心に余裕を持ち大切なものは何なのかを考える心の豊かさを学びました。
仲栄真さん:押し付けの支援にならないように、相手が何を望んでいるのか常に対話が必要だと感じました。
-日本に帰国し、店長としての抱負を聞かれたお二人は・・
自分の体験を出来るだけユニクロの社内で、またお客様との間でも共有して、生かして行きたいと力強く語りました。「明るく笑顔をみせる一人ひとりの子どもの置かれた状況を考え、希望ってなんだろうと自問自答しました。先生になりたい、エンジニアになりたい。皆、夢があるんです。でも夢を実現するには厳しい現状と対峙しなければならない。もっと何か出来ないかと考えさせられました。」気持ちはキャンプに残しつつ、お二人はユニクロ店長としてまた新たな一歩を踏み出します。
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