ユニクロを運営するファーストリテイリングによる「全商品リサイクル活動」によって回収された衣料(シャツ、ズボン、ジャケットなど)がウガンダに到着し、配布が開始された。これによってファーストリテイリングがUNHCRと連携して行なった難民、避難民への衣料支援が1000万着を超えたことになる。ウガンダに到着した衣料はまずカンパラにある小学校に届けられた。このあとコンゴ民主共和国や南スーダンから逃れた難民に配布される予定だ。
ウガンダの都市で暮らす難民の家族721世帯に衣料が配布された時は皆喜びで顔が輝いていた。ウガンダで避難生活を送る難民の多くは、家賃、食糧、最低限必要な生活物資購入のためにお金を充てるため、服を買う余裕などない。しかし服は衛生面でも、人が生きる上での尊厳を保つためにもなくてはならないものである。
コンゴ民主共和国からウガンダへ避難している男性(44歳)は「子どもたちは、他の子どもが自分より良い服を着ていると恥ずかしく思ってしまう。そのように感じることは子どもにとって良い事ではないし、毎日同じ服を着ていると不衛生になりやすい。新しい服がもらえると聞いて、子どもたちはとても喜んでいます。」と語った。
ネイマ・ワルサムUNHCRウガンダ事務所代表は「ファーストリテイリングからの衣料支援に大変感謝しています。ウガンダには現在43万3595人の難民がおり、これはウガンダ史上最多の数です。今回の支援は子どもたちを寒さなどから守り、尊厳を持って生活するという意味でも目に見える効果をもたらします。難民支援の現場において、企業との連携が意義のある変化をもたらすという善例だと感じます。」と感謝の意を伝えた。
UNHCRとファーストリテイリングは約10年にわたり連携し活動を行ってきた。ファーストリテイリングはこれまで「全商品リサイクル活動」で集めた衣料をUNHCRを通じて難民に届けたり、現金による支援を行なってきた。これまでに37の国と地域で1000万着の衣料が家を追われた人々に届けられた。
株式会社ファーストリテイリング グループ執行役員(CSR担当)の新田幸弘氏は「全商品リサイクル活動は、“服のもつチカラ”で社会や人々の生活を豊かにしていくことを目指すファーストリテイリングのCSR活動の一環です。2006年にはじまった活動は世界中に広がり、現在14の国と地域のユニクロおよびグループブランド ジーユーの全店舗で不要になった自社商品の回収を行っています。世界には服を必要としている人がまだまだ多くいます。1人でも多くの服を必要とする人に支援を届けるため、活動をさらに広げて行きたいと考えています。」と衣料支援への思いを語った。
緊急時においての物的支援の中でも特に衣料へのニーズは高く、ファーストリテイリングはこれまでUNHCRの人命救助活動において大きく貢献してきた。2013年台風ハイエンがフィリピンを直撃し、360万人が家を追われた際、ファーストリテイリングは80万着の衣料をフィリピンに届けた。2014年にはシリア難民が冬を乗り越えられるようヨルダンのアズラック難民キャンプに暖かい冬用の防寒着を届けた。
さらにファーストリテイリングは緊急時において資金面でもUNHCRを支えてきた。
・2011年、アフリカ東部で起きた干ばつを受け、ファーストリテイリングからの100万米ドルの寄付に加え、代表取締役会長兼社長である柳井正氏個人からも100万米ドルをUNHCRを通じて寄付した。
・2013年、ファーストリテイリングはシリア危機への緊急対応として100万米ドルを寄付した
世界では5100万人以上が家を追われている。これは第二次大戦以降最も多い数字である。ファーストリテイリングのパートナーシップは避難を強いられている人々に対し企業による支援の重要性を体現している。