ウクライナでの対立が始まって以来、初めての冬が訪れようとしている。UNHCRは最も支援を必要としている国内避難民が厳しい冬を越すための準備を急いでいる。
エイドリアン・エドワーズUNHCR報道官は、ウクライナ東部での対立により基本的な公共サービスが各地で機能しなくなり、現在も多くの人々が新たに家を追われていると語る。報道官は、ウクライナへの人道的支援がますます必要とされているとし、特にドネツク、ハルキウ、キエフ、ドニプロペトロフスク 州、ザポロージェ州などが支援を必要としていると語った。ウクライナの国内避難民の数は合計およそ43万と見られており、9月の始めから約17万人が新たに家を追われた。
UNHCRは国内避難民の95%が集中しているドネツク、ハルキフ、キエフなどの都市で支援物資を支給してきた。エドワーズ報道官は、さらに追加で防寒服や毛布、また屋根の修繕などに用いる防水ビニールシートを配布する予定だと語った。
避難民の大半が賃貸住宅や、親族や友人の元に身を寄せている一方で、少なくとも1万4000人が避難施設で暮らしている。冬が近づく中、これらの施設の防寒設備を整え、最も必要としている人々に暖かい毛布と服を届けることが最優先だ。UNHCRは主に避難民が多く流入する地域にある40の避難施設の改修工事を行う。
ウクライナ政府はここ2週間で、国内避難民の保護と支援を目的とする避難民の登録や支援事業に本格的に乗り出した。これにより1週間でおよそ1万6000世帯が国内避難民として登録された。10月17日には、ウクライナ議会が国内避難民の権利と自由に関する法案を可決した。これを受け、避難民が差別を受けたり、強制的に帰還させられないよう保護したり、自発的帰還の際の支援などが保障され、さまざまな社会福祉サービスや経済的支援サービスへのアクセスが簡略化された。
エドワーズ報道官は、「UNHCRはこの法案が一刻も早く実施されることによって、国内避難民が安全な避難所を提供され、職を見つけたり、公共サービスを受けられるようになることを望んでいる」と語り、法案の完全な実施のためには、ウクライナ政府が国内避難民を避難先のコミュニティに溶け込ませるための政策を立てることが重要だと話した。
一方ロシアでは、移住機関(FMS)によると、今年に入ってから20万7000人を超すウクライナ人が難民申請または一時的庇護申請を出し、また約18万人が一時的居住許可や永住権など、その他の合法な滞在権を求めている。またこれらの数を超すウクライナ人が、ロシアとウクライナの間のビザを必要としない地域に流れ込んでいる。ロシア政府はウクライナからの避難民がロシアに一時的に滞在できるようにいくつかの法案を可決した。UNHCRは他の国々も避難民に対し同じような措置を取ることを望んでいる。
2013年は903人のウクライナ出身者がヨーロッパ連合(EU)加盟国で庇護を求めたのに対し、今年は9月末の時点で、すでに6600人が庇護申請している。EUの中で最も多くウクライナの庇護申請者を受け入れた国はポーランド(1632人)で、スウェーデン(841人)がこれに続く。また今年に入りウクライナからの避難民581人がベラルーシで庇護を求めた。
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