ヨルダン、ザータリ難民キャンプ
2013年11月14日発
激しい雨とひょうが降るシリアとヨルダンの国境付近は、悪路のためにトラックでの物資の輸送が滞ってしまうことがある。そんな中シリア難民がホムス、イドリブ、ダルアーなどの都市部やダマスカス近郊などから、厳しい寒さに耐えながら時にはコートも着ずに裸足で歩いて逃れてくる。
紛争が3年目に突入するシリアでは、UNHCRとパートナー団体は冬の到来を目前に、必要物資の輸送にとりかかっているが、まさに時間とのたたかいである。特に今年の冬は厳しい寒さが予想されている。「イドリブには、ガスもパンもミルクもない。シリアは今、苦しみの象徴のような場所であり、この冬を乗り切るのはとても厳しい。」と18歳のカリドは語った。
そんな中、ヨルダン政府、UNHCRとパートナ団体にとってシリア難民を砂漠からキャンプに移動させることがますます困難になって来ている。またトラックでは入ることが出来ない国境付近には軍のヘリコプターが食糧を空輸している。
UNHCRヨルダン事務所代表アンドリュー・ハーパーは「UNHCRはパートナー団体と協働でザータリ難民キャンプとヨルダンの都市部に向けて寒さをしのぐのに必要な物資の輸送準備を完了した。」と述べた。UNHCRとパートナー団体はユニクロによって寄付されたおよそ60万着の冬服を届ける作業にとりかかっている。また、近日中にトムスシューズ(注) によって送られた靴がヨルダン南部のアカバ港に届き、ザータリ難民キャンプへと届けられる予定だ。ザータリ難民キャンプでは新たにトレーラーハウスが設営されたほか、1年前のキャンプ設立当初から48万5000枚の毛布が届けられた。
また、シリア難民を移動する際に重要な道路の修復、建設も課題であり「人びとが安全に国境を越えて避難できるよう道路の建設が進められるよう働きかけている。」とハーパー代表は述べた。
UNHCRとパートナー団体は、シリア周辺地域でもシリア難民が冬を越せるよう支援している。レバノンでは9万世帯、およそ45万人に暖房器具、毛布や燃料費が支給される予定で、イラク北部では温水が出るプレハブのシャワー室が設営される予定だ。UNHCRの医療パートナーは避難生活を続ける難民の健康状態が悪くならないよう厳しくチェックしている。
そしてザータリ難民キャンプでは難民自ら越冬の準備にとりかかっている。道路脇では冬用のあたたかい服や靴が特別価格で売られ、テントやトレーラーハウスを雨から守るための補強作業が進められている。
UNUNHCRCRは都市で生活する難民などキャンプの外で暮らすシリア難民の越冬支援も行なっている。UNHCRは現金手当ての配当を行なうカイロアンマン銀行と協力し、およそ7万5000人のシリア難民を対象に現金支援を行なっている。今月初めから毛布、燃油、冬服などの費用に多くの予算が割り当てられている。
(注)トムスシューズを製造している米国の会社「TOMS」は、1足の靴が購入されるたびに、靴を必要としている世界の子どもたちに新しい靴を贈るというコンセプトのもとに設立された。トムスシューズは世界中のパートナーを通して、靴を必要とする子供たちに靴を贈っている。
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