UNHCRイラク、バグダッド(1月24日)発:
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、何千人というイラク難民、国内避難民の帰還を促す政府主導の行動計画を提案し、同国への訪問を終えた。
「今もイラク国内外で避難生活を暮らす人が、安全にかつ人間としての尊厳を損なわず帰還ができるよう、この行動計画は安全性、財産、そして社会統合の問題に対し明確な目標設定が必要だ。」とグテーレス高等弁務官は述べた。
同時に、最近ヨーロッパ諸国がイラク難民を強制送還していることにも触れ、帰還は個人の自主的な意思に基づいたものでならなければならないと強調した。
国連難民高等弁務官として4回目のイラク訪問となった今回、2010年12月に発足した同国の新しい連立政権を歓迎し、「今という時がイラクにおける難民、国内避難民問題の終焉の始まりであることを願う。」と期待を口にした。
20万人近くのイラク難民が登録されており、大多数がシリア、ヨルダン、レバノンで暮らす。加えてイラク国内には約130万の国内避難民がいると推測されている。その内50万人は極度に不安定で危険な状況での生活を強いられている。
シリアとヨルダンにおけるイラク難民の大多数は、避難生活を3年以上も続けている。多くが仕事を見つけられず、減っていく貯金と国際機関や地元の支援団体だけが頼りである。過去3年間で9万人のイラク難民が祖国へ帰還したが、最近帰還のペースが落ちる中、新たにイラクを後にし隣国で庇護申請をする人々が増えている。国内避難民に関しては、2008年1月から2010年12月までの間に45.6万人が地元へと帰還している。
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