アンマン 1日
爆弾処理の専門家が主人公の映画『ハートロッカー』が本年度アカデミー賞で最優秀作品賞、監督賞を含む主要6部門を獲得した。このことはイラクの問題を国際的に喚起することだけでなく、ネーダーとアラ*にとっても特別な意味をもった。
彼らは、映画のエキストラとして雇われた20人のイラク難民のうちの2人である。キャサリン・ビグロー監督のこの映画の撮影は、いまだなお続くイラクの危険な状況を考慮し、主にヨルダンで行われた。
彼らは約3週間の撮影に参加し、一日約20米ドルの収入を受け取った。撮影はUNHCRのパートナーであるヨルダンのロイヤル・フィルム・コミッションやアメリカ合衆国の軍の爆発物処理隊の協力も得て、行われた。
ネーダーとアラは、この映画に参加することで、イラクで一般市民や兵士が巻き込まれている自動車爆弾、自爆者、簡易爆発物の惨事を伝えることが重要であるとし、「毎日多くの爆発が起きていることを悲しく思う」とネーダーは語った。
エキストラは収入の確保のためにも、映画に参加することに意欲的であった。配役を決めるにあたり、イラク人役にイラク人を採用することを積極的に行った。「イラクについての映画であるため、実際イラクの人に関わってもらうことは重要である。イラク人は大変な時期を乗り越えてきているため、その体験を表現してほしい」と配役担当責任者は述べた。
『ハートロッカー』のエキストラとして採用されたイラク難民のほとんどは第三国に定住している。UNHCRから生活補助を受けているネーダーとアラもいつかその実現を願っており、イラクへの帰還は希望していない。
*プライバシー保護のため、名前は変更
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