コンゴ、ドゥング(7月13日)発
ジョセフィンは、コンゴ民主共和国の家を強制的に追われた25万人の一人として孤立し混沌とした片隅で暮らしていた。
彼女は多くの避難民同様、世界でもっとも悪名高い武装民兵組織のひとつといわれる、神の抵抗軍(LRA)の襲撃により避難した。LRAは非道にも一般市民への襲撃を行うことで良く知られ、35歳のジョセフィンは村がLRAによって襲撃された後、リナコフ避難所に命からがら逃れ着いた。4月にLRAは、居住地から500メートル離れた避難所を再襲撃し、この襲撃で、9歳と11歳のジョセフィンの娘は12歳の少女と共に誘拐された。その後、3人の少女は解放されたが、LRAは周辺地域を未だうろついている。
コンゴ東部にあるこの地域では、民兵による襲撃がない日がないといっても過言ではない。たとえ家から逃れることができたとしても、住むところがなくなった人の苦悩は続くのである。犠牲者はまた、性的暴力の標的にされ、恐喝され、家族と離れ離れになるのである。医療施設や学校などわずかな人の集まる施設はしばしば民兵の標的にされ壊されてしまう。そして、目には見えないが、同じくらい壊滅的なのはHIV感染が増加の傾向にあることである。
2009年以来、UNHCRでは、包括的なHIVプログラムを開始した。地元住民と国内避難民のニーズに合う質の高い医療を誰もが享受できるように改善していくことを目的としている。
このプログラムでは、コンドームの使用促進、安全な輸血技術、性感染症の治療、母子感染の予防などにより、HIV感染を包括的に防止する意図がある。また、性的暴力の被害者に対して、検査やカウンセリング、暴露後予防(PEP)も提供する。
オックスファム・ケベックのHIVプロジェクト・コーディネーターであり、UNHCRの事業実施パートナーであるムクナ・ギラン博士は、この包括的なアプローチを行うプログラムを支持し、「HIV感染は予防する方法を提供しない限り、意味がない。成功するためには、様々な問題への対処が必要なのだ」と述べた。
ドゥングの保健地域には10万人以上の人が暮らしていて、20の区域に分かれている。LRAの活動により、そのうちの3つの区域には現在アクセスできない。ドゥング病院は唯一HIVの検査をできる場所である。この病院の主任であるベンジャミン・マナノ博士によるとHIV感染者の65パーセントが女性である。
現在、コンゴには180万人以上の国内避難民がいる。UNHCRは、世界でもっとも弱い立場にいる人を保護し支援するプログラムへの財政的支援を必要としている。
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