スイス、ジュネーブ
UNHCRは11月14日、リビア西部、東部、東南部での武装勢力間の激しい戦闘により、ここ1ヶ月で10万人以上が家を追われたと報告した。
リビア東部の町ベンガジとデルナ、東南部のウバリ、西部のキクラを中心とする激しい対立により、人道支援活動が妨げられている。
エイドリアン・エドワーズUNHCR報道官は、パートナーのNGO団体の報告書により、ここ数週間で5万6500人がリビア東部の町ベンガジから避難しているとし、そのうち2500人が北部の町、タワルガからの避難民であると語った。
正確な数は把握できていないが、東部の港町デルナではこれよりも多くの人数が避難を余儀なくされている。またリビア東南部にある地元の危機管理委員会によると、1万1280人が紛争を逃れウバリから避難しており、西部では多くの女性や子どもを含む約3万8640人がキクラから避難したと市民団体が報告している。
エドワーズ報道官によると5月に武力衝突が激化して以来、リビアでは合計39万3420人が国内避難民となっている。避難民は35の都市や町に分散しており、避難所、医療サービス、食糧や水、その他の基本的な生活用品を緊急に必要としている。
UNHCRは中でも10月中旬に、それまで生活していたベンガジのキャンプを追われた2500人のタワルガの市民を憂慮している。タワルガ市民は公園や学校、駐車場で寝泊りし、薄いビニールシートやテントで雨風をしのいでいる。強風や暴雨を伴う冬は防寒着や暖房装置、防寒テントや避難所をもたない女性や子ども、老人にとって非常に厳しい環境になる。
現在、国境を越えた輸送がリビアに支援物資を届ける唯一の方法になっている。UNHCRとパートナー団体は、今年8・9月に支援物資をおよそ1万9000人の避難民に届けたが、資金と供給ルートの確保に苦慮している。
UNHCRはリビアで既に難民登録された人々と、と庇護申請者3万7000人(およそ半数がシリア出身)の中でも特に、紛争地域に取り残されていたり、食糧を手に入れられない状態にある約1万4000人の生活状態を憂慮している。
紛争時には、難民や庇護申請者、移民などの外国人などは疑惑や敵意を持った目で見られ、多くの困難に直面する。他に選択肢がないためにやむを得ず密入国業者の船に乗、りヨーロッパを目指す人は多い。今年に入って、既に15万6000人がイタリアにたどり着き、その85%以上がリビアから出港している。
UNHCRは13日、リビアへの強制送還に関する公式の見解を発表し、リビアから避難する人々の入国を許可し、リビアの治安と人権情勢が大幅に改善するまで強制送還しないよう諸国に呼びかけた。
リビアに関するUNHCR見解(Position Paper)はこちら(英語)