リトアニア、ビリニュス、2013年7月18日発
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、欧州におけるシリア難民の受け入れ状況について懸念を表明し、庇護申請者に対してより寛大で一貫した取組みをするよう強く訴えた。
グテーレス高等弁務官は、EU諸国におけるシリア人庇護申請者のうち、3分の2近くをドイツとスウェーデンの2ヶ国が受け入れていることに触れ、シリア周辺諸国の負担を軽減するために、より多くの国が保護や再定住の機会を提供するべきである、と強く訴えた。
高等弁務官はEU司法・内務理事会の場で、「欧州が世界に向けシリア難民保護の良い例となることはとても重要である」と述べた。そして欧州におけるシリア人の庇護申請者数は2011年3月末より4万人程度とまだ対処可能である事を付け加えた。。180万人もの難民を受け入れているシリア周辺国と比較し、さらに「難民の流出が続き、シリア国内の政治的解決がいまだ見込めない状況で、周辺諸国の不安定化している。レバノンは今もシリア難民のために国境を開放しているが、シリア人の国境へのアクセスはさらに困難になりつつある。」と述べた。難民受け入れ国では、社会的・経済的負担を強いられている。
「シリアの紛争は過去数十年に起きた紛争と比較しても最悪の事態へ展開しつつあり、シリア人は自国で想像を絶する人権侵害を受け、迫害されている。安全と庇護を求める彼らに対し、EU加盟各国が適切な保護の提供に努めなければならない。」と述べた。
またグテーレス高等弁務官は、EUが取るべき5段階の重要なステップを提案した。「まず第一に、現在の国境規制重視の体制から、庇護申請者に対し、迅速で公正な保護手続きが出来るよう、国境へのアクセスの確保に努めること、第二に、寛大で一貫した保護への取組みが必要とされている。紛争が解決の兆しを見せない状況下で、難民認定率の向上を欧州全土で実現することを望む。」
さらに、庇護申請中の難民に対しての拘留制度に厳しい制限を設け、拘留に代わる保護策を模索するよう奨励した。「そして、最後に、EU加盟諸国はシリア周辺国がシリア難民保護の為に受ける大きな負担を軽減するために、出来るだけの努力をすべきである」と述べた。
また、5000人のシリア難民の人道的受け入れを表明したドイツをはじめ、第三国定住受け入れ表明をした国に対する感謝の意を述べ、「他の国々も、これらの国に続き人道的受け入れや第三国定住へ積極的に取り組んでくれることを望む」と締めくくった。
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