2012年12月5日、ジュネーブ発
アフリカの国内避難民の保護と支援条約(カンパラ条約)が12月6日に施行される前に、グテーレス国連難民高等弁務官は歴史的進展であるとしてこのように評価した。
「これは歴史的な転換点であり、その影響力はアフリカ国内にとどまらない。今も世界中で国内避難民は増え続けている。カンパラ条約によってアフリカは、国内避難民の保護と支援における法的枠組み推進の先導的な役割を担うことになる。」
カンパラ条約は、紛争・自然災害などによって避難を余儀なくされた人々を保護と支援の対象としている。この条約は国家が国内避難民に対して責任を負う事は認めつつ、国単位、地域単位で国内避難民を出さないような取り組みを行うと同時に、すでに存在する国内避難民の保護と支援を求めている。
カンパラ条約は2009年10月にアフリカ連合による会議の場で採択され、その後アフリカ連合に属する54カ国のうち37カ国が署名した。しかしカンパラ条約が施行されるには、一定の条件があった。それは54カ国のうち、最低でも15カ国※が批准しなければいけないというものだ。今年11月6日、スワジランドが新たに批准し、12月6日施行の運びとなった 。
カンパラ条約に批准した国は、条約に定められた条項を国内法に反映させ、実行に移していくことが求められる。条約の策定に携わったUNHCRは、批准国の国内法にカンパラ条約がうまく反映されるよう支援を行って行く。
世界に目を移すと、2011年末時点で2640万もの人々が自分たちの住む国の中で避難を余儀なくされている。国境を越えた難民の数が1520万人であることを考慮すると、国内避難民の数がいかに多いかわかる。しかしながら、これまで国際的な法的枠組みの推進は国境を越えた難民にばかり向けられてきた。
アフリカでは、970万人もの国内避難民がおり、そのうちの697万人がUNHCRによる支援を受けている。この数は他の地域と比べても深刻である。最新の統計によると、スーダンでは240万人、コンゴ民主共和国では200万人、ソマリアでは136万人の国内避難民が発生している。
詳細はこちら(英語)
「カンパラ条約」が2009年10月のアフリカ連合の総会で採択された当時のニュース(英文)
※批准15カ国は、ベナン、ブルキナファソ、中央アフリカ、チャド、ガボン、ガンビア、ギニアビサウ、レソト、ナイジェリア、ニジェール、シエラレオネ、スワジランド、トーゴ、ウガンダ、ザンビアである。