執行委員会は、
- 高等弁務官の国際的保護機能の基本的重要性を想起し、
- 庇護制度が、1948年の世界人権宣言の第14条に定める「庇護を求め、かつ享受する権利」に直接由来するのであって、難民の国際的保護上最も基本的な仕組みの一つであることを再確認し、
- 難民の危機的状況の更なる複雑化が深刻かつ新たな課題を庇護制度に課していることを憂慮の念をもって留意し、
- このような課題を鑑みて、広く庇護制度一般に完全なる尊重が与えられる必要性を再度表明し、次のような個々の特定事項について注意を払うことが時宜を得たものと思料する。
- ノン・ルフールマン原則。同原則は、難民としての地位が正式に認定されているか否かに関わりなく、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であることもしくは政治的意見を理由に、その生命および自由が脅かされる恐れがある領域の境界へ、いかなる方法によろうと難民を追放し、もしくは送還することを禁止し、または、1984年の拷問等禁止条約に定めるように拷問を受ける恐れがあるという実質的な理由がある人の場合、そのような恐れのある領域の境界線へ、いかなる方法によろうと当該者を追放し、もしくは送還することを禁ずるものである。
- 庇護希望者が難民の地位の認定のための公正かつ効果的な手続およびその保護上の必要措置に、1951年条約および1967年の議定書に従ってアクセスすることができること。
- 難民の地位の認定についての公正かつ実効的な手続および保護上の必要措置を受けることなしに国境において入国拒否を受けることがないことを含めて、各国がその領域への難民の入国を許可する必要性。
- 高等弁務官にとってその関心対象となる人にUNHCRが迅速に、何者にも妨げられなく、かつ安全に接触すること。
- 庇護を受ける資格が本来ない人にまで保護が拡大されることによって、庇護制度のあるべき状態が乱用されないようにするため、1951年条約の第1条F項に定める除外事項およびその他の関連する国際文書を厳正に適用する必要性。
- 関連する国際文書において定める人権法および難民法上の基準であって適用しうるものに従って庇護希望者および難民を処遇する義務。
- 受入れ国が、適切な場合には国際機関と協力して、難民をいかなる軍事要員または武装勢力からも判別しかつ分離させ、庇護に存在する平和的という特質を防護するという観点から出身国の国境からできる限り相応な距離を置いた安全な場所に難民を居住させる責任。
- 難民および庇護希望者が受入れ国の法律を尊重し、順守する義務。
- すべての関係当事者に対し、庇護制度が根拠としている原理を尊重し、これに従い、また真の人道主義、国際的な連帯および負担配分の精神に則してそれぞれの義務を履行するよう要請する。
*1国連総会文書No.12A(A/52/12/Add.1)に含まれている。