第72号 (XLIV) -1993- 難民の身体の安全 *1

執行委員会は、

難民および庇護希望者(女性および子どもを含む。)が暴力および虐待(殺害、拷問、軍事的または武力攻撃、レイプ、殴打、脅迫、強制的徴兵および恣意的なまたは非人道的な拘禁状態を含む。)を受ける事件が驚くほどの頻度で生じているとの報告に深い懸念を表明し、

難民および庇護希望者の、生命、自由および身体の安全に対する基本的権利ならびに拷問およびその他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたは刑罰からの自由に対する基本的権利を尊重しおよび確保する各国の責任を再確認し、

難民の身体の安全について扱った過去における結論、特に、大規模な流入状況における庇護希望者の保護に関する結論第22号(XXXII)ならびに難民キャンプおよび居留地に対する軍事または武力攻撃に関する結論第48号(XXVIII)を想起し、

難民および庇護希望者が、庇護国の法令を遵守し、ならびに、難民キャンプおよび居留地のもっぱら文民的でかつ人道的な性格を損なうおそれのあるいずれの活動も差控える義務を負っていることを強調し、

難民の身体の安全のためにノン・ルフールマン原則を厳正に遵守する基本的重要性を再確認し、

  1. 難民および庇護希望者の身体の安全に対する権利のあらゆる侵害、特に難民および庇護希望者に向けられた組織的攻撃または暴力の扇動に遺憾の意を表明し、
  2. 各国に対し、国境地帯およびその他の場所にいる難民および庇護希望者の身体の安全に対する脅威を防止しまたは除去するため必要なあらゆる措置(UNHCR、および、適切な場合には、関係政府に承認されたその他の組織が速やかにかつ障害なく難民および庇護希望者にアクセスできるようにすること、難民キャンプおよび居留地を安全な場所に設置すること、被害を受け易い集団の安全を確保すること、個人証明書の交付を容易にすること、ならびに、難民コミュニティを,言い換えれば女性と男性の双方を、難民キャンプおよび居留地の組織および運営に関わらせることを含む。)をとるよう要求し、
  3. 各国に対し、難民および庇護希望者の安全に対する侵害を精力的に調査し、その犯罪のすべての実行者を、可能な場合には刑事訴追し、適切な場合には厳しい懲罰措置に付すよう要請し、
  4. 各国に対し、UNHCRおよび適切な場合には関係政府に承認されたその他の組織と共同して、庇護希望者および難民に効果的な身体の保護を提供し、ならびに、必要な場合には、難民を保護しおよび人道的援助の供給ルートを確保する特別の任務を与えられた人員の採用および訓練により、人道的援助および救援要員に安全なアクセスを確保するよう求め、
  5. 難民および庇護希望者の身体の安全を監視し、ならびに、その侵害を防止しまたは救済するため適切な措置(難民保護についての理解を深めることを目的とした法執行官、その他の関係政府職員向けの研修計画の拡充を含む。)をとる高等弁務官の活動を支持し、
  6. 高等弁務官に対し、各国、UNHCRならびにその他の国際組織および非政府組織が難民および庇護希望者の身体の保護をさらに強化するためにとり得る実際的な措置を含むガイドラインを開発し、執行委員会とこれを共有し、および、広く普及させるよう奨励する。

*1国連総会文書No.12A(A/48/12/Add.1)に含まれている。