第64号(XLI) -1990- 難民女性および国際的保護 *1

執行委員会は、

難民女性の権利およびその特殊なニーズの侵害が広範囲に及んでいることに深刻な憂慮をもって留意し、

難民女性の潜在的能力、ならびに、難民女性のニーズの分析、その能力を適切に活用する計画の企画および実施に際し、難民女性の完全な参加を確保する必要を強調し、

難民女性および国際的保護に関する執行委員会結論第39号(XXXVI)を再確認し、

難民である女性のためにとられるすべての行動が、難民の地位に関する関連国際文書およびその他の適用可能な人権文書(特に、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締約国については当該条約)に依らなければならないことを強調し

難民の女性と男性の平等な取扱いを確保するには、前者に有利な特殊な行動を必要とする場合があることを認め、

女性の向上に関するナイロビ将来戦略の特別の重要性、および、当該将来戦略の規定を実現する国連システム全体の義務を想起し、

難民女性のニーズへの取組みについて達成された進歩を監視するためのデータを収集する重要性を繰り返し述べ、

  1. 各国、関係国連機関および適切な場合には非政府組織に対し、難民女性のニーズおよび能力を十分に理解し、その活動および計画に可能な限り統合することを確保し、ならびに、このために、特に次の目的を追求することにより難民女性の国際的保護を改善する措置を促進するよう求める。
    1. 難民計画のすべての分野の企画、実施および評価/監視への難民女性の全面的なかつ積極的な参加を精力的に推進すること、
    2. 難民計画にかかわるあらゆる組織および主体のあらゆるレベルにおいて適切な訓練を受けた女性職員の参加を増やすこと、および、難民女性がそのような職員に直接にアクセスできることを確保すること、
    3. 必要な場合は常に、熟練した女性面接官を難民の地位を認定するための手続に配置すること、および、女性の庇護希望者によるそのような手続きへの適切なアクセスが、男性の家族構成員に付き添われているときであっても、確保されること、
    4. すべての難民ならびに関連組織および機関の職員が、難民女性の権利、ニーズおよび能力を十分に認め、支援し、適切な特別の行動をとることを確保すること、
    5. 難民女性の保護に特有な配慮を当初(難民キャンプおよび居留地の設置準備時を含む。)から援助活動の中に組み入れ、可能な限り早い段階から身体的および性的虐待の事件ならびにその他の保護に関わる懸念の抑止、発見および救済を可能にすること、
    6. 虐待の被害者である難民女性に、専門家による、文化的に適切な、ジェンダーに基づくカウンセリング、および、他の関連するサービスを提供すること、
    7. 難民女性に対する犯罪を犯した者を特定し、訴追すること、および、そのような犯罪の被害者を報復から保護すること、
    8. すべての難民女性に対して身分証明書および/または登録証明書を交付すること、
    9. 難民女性および女児に対し、基本的サービス(食糧、水および救援物資、保健および衛生、教育および技能訓練を含む。)への効果的でかつ衡平なアクセスを提供すること、ならびに、賃金が支払われる職業への就業機会を提供すること、
    10. 難民女性が、恒久的解決に関する個別の決定に、十分に情報を与えられた上で自発的に同意し、参加するよう計らうこと、
    11. 再定住計画が、危険に直面した難民女性を特別に処することを確保すること、
  2. UNHCRに対し、緊急の事項として難民女性の保護に関する包括的ガイドラインを作成し、文書A/AC.96/754にある難民女性に関する政策を実現するよう招請する。

*1国連総会文書No.12A(A/45/12/Add.1)に含まれている。