日本政府は、ブルキナファソでの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動に対し、総額5億8,900万円(約400万米ドル)の無償資金協力を決定しました。
ブルキナファソでは、国内の情勢不安によって200万人以上が国内避難民となっており、一人ひとりに必要な支援やサービスを届けるためには正確な情報の把握が不可欠です。しかし、登録の遅延や重複により、国内避難民の実態やニーズの把握が困難な状況にあります。
今回の日本の協力は、ブルキナファソの国家緊急救助・復興評議会(CONASUR)をはじめとする国内の関連機関を通じて、生体認証登録とデータベースの整備を支援します。国内避難民のデータが正確に登録・更新され、移動状況も把握できるようになれば、効果的な人道支援につながり、さらに指紋認証を導入することで、二重登録やデータの不正確さ、身元詐称といった課題を解決し、公正な支援の分配が実現します。
この無償資金協力は、日本政府、UNHCRとJICAの連携で実施され、首都ワガドゥグで3者による署名式が行われました。
日本の長島純・駐ブルキナファソ日本国特命全権大使は、ブルキナファソが直面する安全保障や人道的な課題に触れ、「国内避難民のニーズに応えるためには、緊急かつ効果的な対応が必要。この協力により生体認証を導入し、包括的なデータベースを構築することで、最もニーズが高い脆弱な人々に対して効率的に支援を届けることができる」と述べました。
また、UNHCRブルキナファソ代表のモリス・アゾナンポは、日本の協力が国内避難民のニーズに応えるうえで重要な役割を果たすとして、「この日本とJICAの協力により、国内避難民のデータの正確性が向上し、最も必要としている人々に確実に支援が届くようになる。これは、脆弱な人々の保護と福祉の向上を目指す重要な連携だ」と強調しました。
このパートナーシップは、平和と開発に貢献する取り組みの一環として、国内避難民に関する課題を国際社会に示すうえでも重要な連携です。UNHCRの国内避難民への対応とJICAの技術的な専門性、日本の財政支援を組み合わせることで、ブルキナファソ全13地域に住む200万人以上の国内避難民と、60万人の受け入れコミュニティに対して、効果的な支援を提供することが可能になります。
さらに、このプロジェクトは、人道危機への革新的な解決策として、共生社会や平和構築を促進するためのデジタル技術の可能性を示しています。生体認証登録とデータベースが整備されれば、ブルキナファソ政府は国内避難の規模や状況をより正確に把握でき、女性や子ども、障がい者など脆弱な人々を含む市民に対し、より適切な支援と保護を提供できるようになります。
今後もUNHCRは日本政府やJICAと連携し、故郷を追われた人々に必要な支援を届けていきます。
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