現在、世界で故郷を追われている人は1億人―。
世界各地で難民問題が拡大、複雑化するなかで、今私たちに求められているのは“社会全体での難民支援”。2018年12月に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」で強調されているように、社会の一人ひとりが責任を分担し、行動を起こしていくためにも、自治体は重要なアクターのひとつです。
その一環として、UNHCRではグローバルキャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」(英語名:Cities #WithRefugees)を立ち上げ、自治体との連携を強化しています。2022年6月時点で世界53カ国・282の自治体が参加、日本からは7自治体が署名しています。
そして今回、日本での自治体連携をさらに強化していくために、UNHCR駐日事務所と国連UNHCR協会が勉強会をオンラインで企画。日本各地から参加した9自治体の担当者とともに、情報共有、意見交換を行いました。
まず冒頭にUNHCR駐日代表のカレン・ファルカスから、今年2月末以降のウクライナ緊急事態に対して、日本各地の自治体から多くの寄付が寄せられたことへの感謝が伝えれられました。自治体は難民受け入れの基盤であり、インクルーシブな社会の実現に向けて重要な役割を担っているとして、「日本でも難民支援において自治体のリーダーシップと支援が必要とされている。UNHCRとしても皆さんの取り組みを全力でサポートしたい」と期待を述べました。
続いて、UNHCRの歴史から難民問題の潮流の変遷、UNHCRが世界各地で実施してきた対応などについての紹介がありました。また、日本国内での自治体とUNHCRの連携の好事例として、ファーストリテイリングが全国の学校で展開する「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」、難民をテーマにした写真展や映画上映の開催、「世界難民の日」のブルーライトアップ、また、国外の自治体がリードしている難民受け入れの事例についても共有されました。
勉強会に参加した自治体の担当者からは、「これまで業務で難民支援に携わったことがなかったが、自治体としてできることのイメージを持つことができた」「UNHCRとの連携に積極的に関わっていきたい」などの声が寄せられました。
最後に、UNHCR駐日首席副代表のナッケン鯉都が「日本では難民問題を身近に感じている人は少ないかもしれないが、自治体が実施している多文化共生やダイバーシティの取り組みと難民支援は重なる。ぜひこれから日本の自治体の皆さんのノウハウを発揮してほしい」とコメントし、会を締めくくりました。
▼UNHCRの自治体連携についてはこちら
https://www.unhcr.org/jp/cities_with_refugees