2月27日、Welcome Japan主催、UNHCR駐日事務所後援で、「【Welcome Japan Conference】コレクティブインパクトで生み出す共生社会」が開催されました。
Welcome Japanは「難民も日本も、皆でたくましく」をテーマに、難民・移民を含めてすべての人が生き生きと暮らせる社会の実現に向けて、さまざまな分野の有志が集まり設立された任意団体です(くわしくはこちら)。パブリックイベントの開催は設立後初となります。
冒頭のあいさつでUNHCR駐日代表カレン・ファルカスは「世界ではすでに8,000万人を超える人が故郷を追われ、ウクライナの難民危機も日々刻々と状況が変化している。そんな中、難民支援のカギとなるのは“社会全体の取り組み”であり、Welcome Japanはまさに市民社会が主導する “運動”。難民問題の恒久的な解決策を見つけるうえでの“光”となるはず」とエールをおくりました。
まずはじめに、Welcome Japanのメンバーから団体設立の趣旨や活動について説明があり、就労や教育など分野ごとに分科会を立ち上げ、日本で難民にかかわる課題についての検討を行っていくことなどが紹介され、難民受け入れに関する他国での成功例についての調査結果も共有されました。
続くパネルディスカッションには、難民や移民の雇用や支援に携わっている産官学のパネリストが参加し、質疑応答も交えて活発な議論が行われました。
法務省 出入国在留管理庁の君塚 宏氏からは、日本政府が進める「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」などの政策もとに、外国人の生活や言葉などへの支援をはじめ、新型コロナウイルスのワクチン接種を例に外国人対応の取り組みなども紹介されました。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンの安井 誠氏は、同社のコンビニエンスストアの2割を留学生が占めているとして、日本語習得のために実施してきた取り組み、外国人人材のサポート強化のためにJICAと実施しているパイロットプロジェクトについての紹介がありました。
株式会社オウルズコンサルティンググループ の羽生田 慶介氏からは、欧米諸国に比べて労働者における外国人比率が低い現状は、むしろ今後、企業による難民就労の支援を含む外国人労働者の社会包摂が進むことで産業競争力向上や社会課題解決が進む余地が大きいことを意味するとして前向きに捉えるべきという提案がありました。
一橋大学で移民難民政策などを専門とする橋本直子氏からは、本来であれば“線”である国境管理と“面”である共生社会をセットで行われるべきなかで、日本ではこれまで多くの場合で“線”が重視されてきたこと、昨今アフガニスタン、ミャンマーからの難民に迅速に柔軟な対応が行われたことは評価すべきだと話しました。
これらの議論を受けて、自民党外交部会人権外交プロジェクトチーム座長を務める鈴木 憲和衆議院議員は、「日本はこれまで外国人受け入れを正面から議論してこなかったが、そろそろ“日本はどういう国、社会を目指すのか”を考える時にきている」と強調しました。
参加者からは、Welcome Japanの支援対象や分科会の活動、企業や政府、国連などそれぞれの役割への期待や課題についてなど、「インクルーシブとはなにか」の原点に返るさまざまな質問が寄せられました。
最後に、アライアンス・フォーラム財団会長の原 丈人氏より「就労許可や言葉の違いなどいろいろな問題はあるが、日本も移民や難民をしっかり受け入れる体制を整えて、世界からも尊敬される国になるべきだと思う」と閉会のあいさつがあり、会は締めくくられました。
Welcome Japanでは、日本で必要とされているニーズを把握し、支援の情報提供を募集するためにお問い合わせフォームを開設しました。「難民も日本も、皆でたくましく」に賛同し、#一人ひとりにできることを 検討されている方、ぜひご活用ください。