フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、アフガニスタン国内の人道支援、他国に避難したアフガン難民のニーズに対応するために、国際社会に継続的かつ着実な支援を訴えました。
「世界は今、ウクライナの戦争で一色になっていますが、アフガニスタンでもとても深刻な危機が続いています」
3月中旬、グランディ高等弁務官はアフガニスタンで4日間の視察を行いました。
「私たちが話をしているのは、次にいつ食事をとれるかもわからない、一家を担い自分の子どもの心身の健康を心配している女性、家族を養うために奮闘する母親や父親などです。ここにあるニーズば莫大です」
3月14日にアフガニスタンに入り、アフガン暫定政権との会談やアフガニスタン全土で活動を続けている国連やNGOのスタッフとの対話、UNHCRが建設したカンダハルの医療施設、ジャララバードの少女のための学校の訪問などを行いました。これらの会合を通じてグランディ高等弁務官が訴えたのは、UNHCRは現場にとどまりアフガニスタンへの人道支援を続けるという揺るぎない決意です。
2022年、これまでアフガニスタンでUNHCRが支援を届けたのは50万人以上。その中には、越冬のための緊急援助物資や現金給付を受けた13万人以上、帰還民、国内避難民のためにUNHCRが建設した医療施設、学校、水道システム、その他インフラから恩恵を受けた37万人以上を含まれます。
「紛争により国内で避難を強いられている人はおよそ340万人、新型コロナウイルスの危機とはしかの蔓延により医療システムは深刻な不足に陥っています。学校や病院などの主要施設の働き手は給与をもらえず、流動性危機、食料とエネルギー価格の世界的高騰による影響も深刻です。今年、アフガニスタン全土では2,400万人が人道支援を必要としており、私たちはこれまでも大きな成果を出してきた人道支援に対する資金協力をドナーに訴えます」
UNHCRはアフガニスタンで40年以上、故郷を追われたアフガニスタン人、帰還への緊急支援を続けてきました。現在はアフガン難民解決戦略支援プラットフォームのもと、55の地域の再建を支援し、コミュニティのレジリエンスと安定の構築に向けた活動を実施しています。その対象は、アフガニスタン国内の1万1,000以上の村、近隣国の難民受け入れ地域にフォーカスしています。
「アフガニスタンの人々の権利、ウェルビーイングを守ることは、政治、経済の長期的安定に必要です。国際社会はアフガニスタンに関わり続けるべきです。しかし人道的なアプローチだけでは十分ではないでしょう。銀行システムや経済の再生、開発プロジェクトの再開は、国内避難民、状況が許せば自発的な帰還を検討しうる難民の生活の基礎になるものです」
また、事実上の当局と故郷を追われている人々との信頼関係も重要です。グランディ高等弁務官は当局とのミーティングで、マイノリティ、男性、女性、少女、少年含めて、アフガニスタンの全国民が権利や就労その他サービスに平等にアクセスできるようになることが一番の方法だと伝えました。
この点に関して当局は、カブールだけでなくカンダハルやジャララバードでも、すべての人にサービスを提供することの重要性を認識していると応え、グランディ高等弁務官はこれを歓迎しました。
アフガニスタン国内で活動している団体は、アフガニスタン人道危機対応計画(HRP)のもと、その活動資金として44億4,000万億米ドルを緊急に必要としています。これは2,200万人のアフガニスタン人の主要なニーズを満たし、飢餓、病気、栄養不良に歯止めをかけ、命を落としたり移動を強いられたりする人が出ることを防ぐためのものです。また、国連の暫定枠組み(TEF)のもと、国内の3,800万人の支援として必要な社会的プログラムを維持するためにさらに36憶米ドルが必要です。
UNHCRは今年、アフガニスタンで避難を強いられている人々、その他脆弱な人々への対応として3億4,030万米ドル必要としています。現時点ではアフガニスタンでの活動に必要な資金の28%、9,700万米ドルしか集まっていません。
グランディ高等弁務官はこの資金不足は深刻であること、現場のニーズは依然として莫大であると訴えます。今回視察したジャララバードの少女のための学校のように、さまざまな機会が広がっていくことが重要です。アフガニスタンの人々がそれぞれの可能性を生かし、未来に向かって歩みを進められるよう、国際社会の支援の強化が必要だと訴えています。
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