日本政府はバングラデシュ・コックスバザール県のロヒンギャ難民と受け入れコミュニティの医療アクセスの改善に向けて、約440万米ドルの無償資金協力を決定しました。
12月15日、伊藤直樹駐バングラデシュ日本国特命全権大使、ヨハネス・ヴァン・デル・クラウーUNHCRバングラデシュ代表が書簡の署名を行いました。
この1年半、新型コロナウイルスの感染拡大により医療のニーズは増加しており、人口密度が極めて高く、安全な水や衛生サービスも限られる難民キャンプでは、医療施設も飽和状態が続いていました。
この日本の寛容な支援により、約26万5,000人の難民、受け入れコミュニティの人々に医療サービスを届け続けることが可能になります。
本協力で実施される3年のプロジェクトでは、ウクヒヤ特別病院内に新たな入院棟の建設を支援します。これにより、特別な治療、当日の手術、その他この地域で受けることが難しかったサービスへのアクセスに加え、メンタルヘルスや心理社会的サポートが可能になります。また、ロヒンギャ難民キャンプ内にある39の医療・栄養施設の改修とメンテナンスも支援し、主要な医療機器や薬の提供も行います。
伊藤大使は「日本として、このプロジェクトを支援できることは大変光栄であり、難民、受け入れコミュニティともに、医療状況の改善が行われることを切に願います」と述べたうえで、「日本はミャンマーへの早期の帰還に向けて働きかけを続けるとともに、国際的な組織、NGOなどと連携して、難民と受け入れコミュニティの生活状況の改善に向けて貢献します。この危機の持続的な解決策は、自由で開かれたインド太平洋につながると考えます」と話しました。伊藤大使はこの10月にコックスバザールの難民キャンプを訪問した際、この困難な状況にも関わらず、UNHCRなどさまざまな団体が献身的かつプロフェッショナルに活動を行う姿を目の当たりにしたといいます。
2017年8月に70万人以上のロヒンギャ難民がバングラデシュに避難してから、バングラデシュの関係当局と人道支援団体は、現場で、難民及び受け入れコミュニティの人道・保護ニーズへの迅速な対応を行ってきました。
ミャンマーへの自主的かつ持続的な帰還が安全と尊厳ある形で実現し、再スタートが切れるまで、バングラデシュの政府と国民は、90万人を超えるロヒンギャ難民を寛容に受け入れ続けています。
日本はバングラデシュのUNHCRの活動、ロヒンギャ難民対応への支援を長年にわたって続けています。特に2017年8以来、難民と受け入れコミュニティの支援として、国際的な組織やNGOに対して、今回のプロジェクトを含めて約1億5,000万米ドルの貢献続けています。今年のはじめにも、テクナフ群の脆弱な受け入れコミュニティと難民への安全な水へのアクセス改善のために約1,000万米ドルの無償資金協力を実施しています(くわしくはこちら)。